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帰省が憂鬱も「我慢してやり過ごす人が多い」 地方に生きづらさ感じる100人に話を聞く25歳 調査で知った女性たちの思い
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地方に生きづらさを感じる女性たちの意見

では、地方出身の女性や在住の女性たちが生きづらさを感じている原因とは、なんなのでしょうか。山本さんは3つの共通点があると話します。
○地元には女性が働ける仕事の選択肢が少ない
地元では、看護師、介護士、保育士など資格職以外の選択肢が思い当たらないという女性が多数。地方で女性が就くイメージの強い職業は選択肢が少ないうえに、構造的に給料が低いことも多い。
また、企業や公務員でも女性の正社員や管理職が少なく、ロールモデルが見つけられないため、自分が長く働くイメージが沸きづらいという声も。
○結婚して子どもを産むことへのプレッシャーを感じる
女性の幸せは家庭に入ることという考えが深く根づいている。親族・近所づきあい・職場などあらゆる場面で男女問わず、結婚して子どもを産むことを求める傾向が強い。
○女性に求められる役割が苦痛
お盆や正月、地域の行事などでは、男性が飲み食いし、女性は給仕をするなど働く構図になることが多い。
職業の選択肢が少ないことのほかにも、家父長制のような考え方になじめない人は多いようです。こうした性別役割分業意識は女性にも根づいており、「男兄弟は母親から何も言われないのに、私だけが手伝わされる」といった声もありました。
帰省シーズン “女性の幸せ”ではなく“個人の幸せ”を考えて
山本さんの体感によると、話を聞いた人たちの7割は地元が好きで、「絶対に帰りたくない」という人は意外と少ないといいます。それでも中には、帰省シーズンになると実家に帰りたくないと気が重くなる女性もいるそうです。
「親族などが集まる機会が多い年末年始などの長期休暇は、料理などを女性の役割として押し付けられる機会が増えます。また、挨拶代わりのように『結婚は?』『子どもは?』と聞かれることも少なくありません。そうしたことに憂鬱さを感じながらも帰省し、我慢してやり過ごしているという人が多い印象です」
今年も地元に帰省することを憂鬱に感じている女性たちがいるかもしれません。山本さんは「世間でいう“女性の幸せ”に合わせて最近の様子をうかがうのではなく、“個人の幸せ”を考えて話を聞くといいと思う」とアドバイスします。
今後は全国各地へ赴き、勉強会や、地方に住む女性たちと交流の機会を増やしていきたいという山本さん。双方向のプロジェクトとなるよう調査レポートをまとめ、地方自治体などへの働きかけを行っていきたいと考えているそうです。一人ひとりが幸せに暮らせる社会に向けて、山本さんは今後も活動を続けていきます。
1999年、山梨県生まれ。都留文科大学文学部卒業後、県内のベンチャー企業に就職。現在はフリーランスのウェブディレクター。若年女性の本音を動画コンテンツで伝える「地方女子プロジェクト」を2024年1月に立ち上げる。若年女性が首都圏に流出し、地方衰退の一因になっている現状を特集した「クローズアップ現代」で紹介され、大きな反響を呼ぶ。
(Hint-Pot編集部)