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日系アメリカ人の義母と“冷戦”状態になったママ友 日本人女性が海外暮らしで感じた必要不可欠なこととは
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アメリカ・ハワイのロコ(地元民)と結婚し、現地で2人の子どもを育てている45歳・主婦ライターのi-know(いのう)さん。神社での初詣やご祈祷、お賽銭など、日本文化の“当たり前”が、外国人にとっては違うことを思い知る出来事があったといいます。第24回は「盆踊りで嫁姑問題が勃発!」です。
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アメリカ人は仲良くなるとぶっちゃけ話が多い!?
アメリカで一般的にタブーな話題といえば、政治、宗教、容姿や年齢を聞くことなどあります。しかし、親しい関係になると、政治や宗教の話はもちろん、給料などお金にまつわる話をぶっちゃけてくれるので、日本人としては驚きます。
たとえば……(※わかりやすいように円表記にしています)。
「5年前に家を7000万円で購入した。今の価格は1億円近いから、売ったら儲かる」
「夫は警察官の上のほうの役職で、月収100万円超え」
「祖父母からのおこづかいで、毎月子どもの大学費用を貯金。すでに500万円貯まった」
といった自慢話だけでなく、「貯金がないから家のリフォームができなくて、義父母に借りた」という自虐的な話もぶっこんできます(笑)。どれだけ仲良くなっても、日本人同士ならこの手の話はしないのではないでしょうか。
説得をするも、ママ友は断固拒否の姿勢に
宗教に関しても、とくに隠すことはしません。「毎週日曜日は家族で教会に行っている」=キリスト教など、「家に仏壇がある」=仏教……といった具合に、日常会話からお互いの宗教を把握することができます。
ちなみに、「日本人のほとんどはどこの宗教団体にも属していない」とアメリカ人に言うと、かなり驚かれます。
誰もがどこかの宗教団体に所属しているハワイでは、宗教の違いが原因で嫁姑問題が勃発してしまうのも常です。あるママ友は、車の側面に「ジーザス・ラブズ・ユー」というシールを貼っている、敬虔なクリスチャン。そんな彼女ですが、仏教徒の姑(日系5世)と冷戦状態なのだそう。なんとその原因は、盆踊りでした。
ハワイには日系アメリカ人が多いので、仏教やそれにまつわるイベントが日本と同じように開催されています。
夏の盆踊り大会(英語ではBON DANCE)では、みんなが法被を着て、日本の曲に合わせて踊りを楽しみます。その様子は、まるで日本にいるかと錯覚するような風景なのですが、クリスチャンのママ友さんにはとてつもない拒否感があるのだそうです。
というのも、「盆踊りは仏様に祈りを捧げる、とても宗教色の強いイベント」だそう。私の認識だと「ご先祖様を供養するためのイベント」という位置づけですし、彼女のお姑さんは、孫たちが盆踊りに参加してくれるのを楽しみにしていました。ですから「気楽な気持ちで参加してみたら?」と説得を試みたのですが、ママ友は断固拒否。以降、嫁姑は“冷戦”状態に突入してしまいました……。
グローバルマナーは、今の時代に身につけておきたい処世術
こうしたトラブルは、このママ友に限った話ではありません。宗教を持つ人々にとって“超えてはいけない一線”が存在するようです。たとえば、日本を旅行する外国人のなかには、神社やお寺を訪れたくない人が一定数います。
日本のテレビ番組で、浅草の浅草寺や京都の伏見稲荷大社が、外国人観光客であふれ返っている様子を映していますよね。でも、アメリカ人との交流を通して、そもそも宗教施設を訪れたくない人がいることを知りました。また、観光地として訪れた人のなかにも、お賽銭を入れたり、手を合わせてお祈りをしたりしないことなど、それぞれの範囲で楽しんでいる人がいます。
思い返せば、そういった事情を知らなかった20代の頃、インド人の友達を日本の観光名所に案内したことがあります。ある有名な神社に連れていったところ、そのインド人が「私は外で待っているね」と中に入らなかったことがありました。それを見て「いろいろ連れ回したから、疲れちゃったかな」としか思いませんでしたが、あれはそういうことだったのか! と、いまさらながら自分の無知を恥じています……。
親しくなれば外国人との会話にそれほどタブーはないけれど、外国人の文化や事情に配慮するグローバルマナーは、今の時代に身につけておきたい処世術かもしれません。
(i-know)
i-know(いのう)
大学卒業後、即フリーランスライターに。お笑い雑誌やファッション誌で、著名人のインタビューを中心に活躍。大好きな東方神起に取材できたことを機に、日本のキャリアに一区切りをつけ、2013年、単身ニューヨークへ。2015年、ハワイのロコ(地元民)と結婚し、現在は2人の子ども(7歳、4歳)を完璧なバイリンガルに育てるべく奮闘している。