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「犯罪を行う手助けをすれば共同正犯」 子どもが闇バイトに応募…未然に防ぐためにできることとは
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「高収入」「即日即金」「簡単なお仕事」などと甘い文句で誘う闇バイト。一般的な求人と見分けにくいものもあり、特殊詐欺の実行役として犯罪に加担させられる人が後を絶ちません。未来ある若者が犯罪に巻き込まれないために、どうしたらいいのでしょうか。親世代にできることはないのか、防犯アドバイザーの京師美佳さんに伺いました。
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日頃のコミュニケーションが大切
闇バイトが関係した強盗事件が頻発しています。なかには未成年が逮捕されるケースも。子どもを闇バイトに加担させないためには、どうすればいいのでしょうか。
「子どもが20歳を超えると、親もどんなアルバイトをしているか、詳しく把握できていないことが多いでしょう。やはり、積極的にコミュニケーションを取ることが大切です。早い段階で親が気づいて警察に相談し、助けられたケースもあります」
SNSや、先輩・友人から回ってきたバイト話に安易に乗ると、知らないうちに犯罪に加担してしまうリスクがあること。そして、一般的な求人サイトの中にも怪しい仕事が紛れ込んでいる可能性があることを伝えましょう。京師さんによると、配送やシール貼りなどの一般的な業務で募集していても、面接に行ってみたら闇バイトだったというケースもあるそうです。
そして、逮捕されたあとには懲役などの厳しい刑罰が待ち受けているだけでなく、被害者への多額の損害賠償を支払う必要もあることなどを、日頃からしっかりと子どもたちと話し合っておく必要があるでしょう。
すぐに個人情報を引き出そうとしてきたら要注意
では万が一、怪しい求人に応募してしまった場合、未然に防ぐ方法はあるのでしょうか。仕事に必要だとして、匿名性の高い通信アプリをインストールするよう指示されるケースもあります。
「24時間で情報が消去される『テレグラム』や『シグナル』といったアプリを入れるよう言われたら要注意です」
また、詳細の仕事内容を聞いても「まずは身分確認が必要」と言って、言葉巧みに運転免許証や学生証、マイナンバーカードなどを撮影した画像を送るよう指示されたり、面接の場ではその場でコピーを取ると言われたりすることも。
「面接に行ってすぐに免許証のコピーを取らせろと言ってきたり、家族の情報を聞いてきたりするのも怪しいですね。免許証に記載されている情報から、本籍地や口座、クレジットカード番号、勤め先、借金額などの個人情報を調べることが可能なのです」
なかには、実家の外観写真や家族の個人情報の提出まで求められる場合もあるので、絶対に送らないように教えることが大切です。
すぐ警察に相談を
しかし、先に個人情報を渡してしまい、犯罪に加担しなければ家族に危害を加えると脅されるケースも少なくないようです。そんなときはどうしたらいいでしょうか。
「とにかく警察に相談してください。家族の安全も保証します。たとえ自分の関わる作業が運転だけだとしても、犯罪を行う手助けをすれば共同正犯です。強盗致死の場合、死刑か無地懲役の刑罰が定められています。強盗致傷なら、無期懲役または6年以上の懲役です」
そうした事態に至らないためにも、疑って調べる癖をつけたり、家族など身近な人に相談しやすい環境を作っておいたりすることが重要です。闇バイトの募集は、手口がどんどん巧妙化。リクルートの対象は若者だけでなく、中高年やシニア層にも広がっているといわれています。子どもだけでなく家族全体で話し合いをし、騙されないように警戒していきましょう。
(日下 千帆)