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いぬねこの終の棲家 都市型・老犬老猫ホーム「東京ペットホーム」はなぜ生まれた? きっかけは「東日本大震災」だった
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衛生環境や食生活の改善、医療の発達により長寿化しているのは、人間と暮らすいぬやねこも例外ではありません。ある調査によれば、ここ10年でいぬもねこも寿命が飛躍的に延びているといいます。最期まで看取りたいと心に決めていたとしても、自分自身が老人ホームへ入居したり、体調を崩して入院するなどやむを得ない事情で飼えなくなってしまうことも……。そんなとき、愛するねこ達を安心して預ける場所はあるのでしょうか。ねことの暮らしのアイデアが詰まった「猫ねこ部」がねこ達の余生を預かる「老犬老猫ホーム」の実態をお届けします。
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老猫ホーム立ち上げのきっかけは「東日本大震災」
「老猫ホームって何?」と思われる方はまだまだきっと多いと思います。今回は、都市型老犬老猫ホームの先駆け、東京・大田区にある「東京ペットホーム」を取材してきました。老猫ホームのことを知っておくだけでも安心感につながります。一体どのようなところなのか、この機会にしっかり学んでおきましょう。
2011年に起きた東日本大震災――未曾有の大災害により、飼い主とはぐれて放浪状態になったペットが野生化。住民に危害を加えるなど、大きな社会問題となりました。
老犬老猫ホーム「東京ペットホーム」代表の渡部帝(あきら)さんは、当時この深刻な問題に大きな関心を寄せていたといいます。3児の父で、愛犬家の帝さんは被災ペットの情報を目にするたび、「もしこの子を飼えなくなったら……」と自身の飼い犬への思いが増していきました。
「いくら万全を期していても、ひとたび災害に見舞われると飼えなくなってしまう。もし、愛犬の“生存権”を自分が保証できなくなったら、誰がどのように保証してくれるのか……」
いまや“ペットは我が子”などと言われる一方で、日本の法律ではいまだペットはモノ扱いです。欧米のようにペットの生存権は認められてはいません。
「ペットにも生存権が必要。そういう意味でもセーフティネットがあった方がいいんではないかと。それがこのホームを作ろうと思ったきっかけですね」
こうして、震災から3年後の2014年6月、帝さんは妻まいこさんとともに老犬老猫ホーム「東京ペットホーム」を立ち上げました。
動物達のセーフティネットの役割を果たすのであれば、老犬老猫ホーム以外ではいわゆる「保護シェルター」と呼ばれる施設を作るという選択肢もありました。しかし、飼えなくなった犬猫をシェルターに預ければ、飼い主さんは親権を放棄したことになり、その後の安否は分からないままになってしまいます。
「飼い主さんからすると飼育放棄してそのまま終わってしまったという、悲しい結末になってしまうんです」と帝さん。
「人間の老人ホームのようにいつでも面会に来れて、基本的に飼い主さんこそがずっと家族で。また飼えるようになったらもちろんお返しする。そのような仕組みを作りたいと思ったんです」