どうぶつ
ねこ達の余生 幸せのかたちとは 家での様子を聞いて“再現する”老犬老猫ホームの努力
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2011年の「東日本大震災」をきっかけに立ち上げた、都市型老犬老猫ホーム「東京ペットホーム」。大切なねこ達の余生を預かる仕事ですが、代表の渡部帝さんはペット業はまったくの未経験でした。手探り状態の中で見つけていった、ねこ達の幸せの形とは? ねことの暮らしのアイデアが詰まった「猫ねこ部」がお届けします。
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ケージから食事まで 個別管理を徹底
2014年に開業した「東京ペットホーム」。オープン当初、老犬老猫ホームは黎明期。もちろん他の老猫ホームはありましたが、オーナーの渡部帝さんの思い描くイメージとはかけ離れた施設が多かったといいます。
その施設は、大部屋に何十匹ものねこが入れられ、ケージが並べてはあるものの、先住ねこからいい場所がとられている状態。あとから気の弱いねこが入居すれば、当然、居場所はなく……。ごはんを食べようにも先に誰かにとられてしまい、満足に食べることもできない状態だったそう。
「飼い主さんにとってはオンリーワンの子。飼い主さんから対価をいただいて老猫ホームと名乗るからには、今までの生活とか飼い主さんの想いをちゃんと尊重し続けてくれる場所でないといけないと思うんです。その他大勢扱いじゃなく」
そして、帝さんが徹底したのが「個別管理」でした。東京ペットホームでは、まず、ホームが怖い場所じゃないことを理解してもらえるよう、ケージにカーテンなどかけて、個別にしっかりと落ち着けて安心できる場所を作ってあげます。そして、慣れてきたら、他のねことの共有スペースに出ていくのを見守ります。
「自分だけのテリトリーとプラス人が管理している上で、広場での生活を両立させるべきというのが僕の考えです」
また、特定の療法食を食べるねこがいる場合や、フードに混ぜて投薬していることもあるため、それぞれのねこが食べるフードもしっかりと管理しています。
「家族として飼われていた子は、飼い主さんにとってかけがえのない子。ですから、できるかぎり飼い主さんに普段のおうちでの様子を聞いて、なるべく“再現する”というのが老犬老猫ホームの役目だと思ってます」
帝さんは、いぬやねこがふとした時に見せる仕草があると、必ず飼い主に「仕草の意味」を聞くようにしているのだそう。長い間、一緒に暮らしてきた飼い主はその子の一番の理解者です。一般的ないぬやねこの話で勝手に決めつけないよう、スタッフにも徹底しているのだとか。