どうぶつ
老猫ホーム経営者が教える 愛猫も飼い主も“幸せになる”施設の選び方 充実した余生を過ごすために
公開日: / 更新日:
家族を失ったんじゃなくて家族が増えた
「この子は飼い主を失うんだ、家を失うんだ」と、愛猫を預けるときの飼い主はみんなネガティブな気持ちになりがちといいます。
けれど、いざ面会に訪れると、他のねこ達と穏やかに仲良く過ごしている愛猫の姿を見て、なんだか寂しい気持ちと同時に、どこかホッとした気持ちになるのだそう。
「最終的にうちに預けて良かったって言ってくださるときが一番嬉しいです。特にホームで亡くなったとき、私たちスタッフも葬儀に参列するんですが、自分の家族を失う感覚なので、もうほんとに悲しいですね……。そうすると飼い主さんが泣きながら良かったと言ってくださって。『この子は家にいるときよりもここにきてもっと幸せになった。家族を失ったんじゃなくて家族が増えたのね』と言っていただけるのは、本当にやっててよかったと思える瞬間です」
選ぶ人にとって選択肢が広がるように
オーナーの帝さんは、現在老犬ホーム協会(老犬老猫ホーム協会に改称予定)の副会長も務めています。
経営が安定していること、飼育頭数の上限、スタッフ1人あたりの飼育頭数の基準、預けられるねこ自身プライバシー……。老犬老猫ホームと名乗るからには、最低限これらが必要というのが帝さんの考えです。同じ思いを持つ全国のホームが、協会のメンバーになっています。(2020年1月現在 7施設)
「引き取り屋が老犬老猫ホームと名乗れる状況では、業界自体は暗いものになってしまいます。もし、それが認められるんだったら、もう一般的な認識を変えていくしかないと思っています。『そういうところは老犬老猫ホームじゃないよね』って。そういう感覚をオーソライズしたら、法規制が追い付いてくるかもしれません」
また、業界にとっての健全な成長は「選ぶ人にとって選択肢が広がる」ことだと帝さんいいます。帝さん自身、東京ペットホームの代表でありながら、東京・目黒区にある高級老犬ホーム「THEケネルズ東京」の運営責任者も並行して勤めています。
「東京ペットホームでお金がなくて諦めてるとこは全部ここでやらせてもらってます」と笑って話す帝さん。帝さんがレイアウト段階から関わったという、ラグジュアリー感あふれる内装。必要なものは何でも揃っている超豪華施設です。そのぶん値段も最高級で、ペットホテルの利用も部屋によっては1泊1万2000円……!
「誰にどのホームがあうのか私は分からないけれど、いい意味でそのホームならではの個性を出して多様化していくべきだと思っています」
我が子にあわせて、飼い主さんにあわせて、もっとたくさんの選択肢から選べるようになれば、今よりもっと老犬老猫ホームの認知度も上がっていくかもしれません。
いろいろなセーフティーネットがあることを知っておく
高齢者で多いのが、本当はねこが大好きだけれども、自分が先に死んでしまう可能性を考えると、飼えないという人。でも、ねことの暮らしは「絶対に毎日の活力、生きがいになると思う」と帝さん。帝さんは高齢者ほどペットを飼うべきだと考えています。
しかし、ねこの安全と自分の安心のためにも、飼う前にさまざまな“セーフティーネット”があることを知っておかなければならないといいます。
「老猫ホーム、ペットと一緒に入れる老人ホーム。看護、介護をしてもらえるペットシッター……。お金はそれなりにかかってしまいますが、今は手段がたくさんあるんですよ。最初から諦めちゃうことはありません」
「老犬老猫ホーム」とは、単に動物たちの余生を預かってくれるだけでなく、飼い主である人の気持ちに寄り添って支えてくれるものなのかもしれません。
取材協力:東京ペットホーム 公式サイト:http://www.tokyo-cathome.com/
(猫ねこ部)