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インフルエンザが流行中 市販の解熱剤に薬剤師が注意喚起 使ってはいけない市販薬の成分とは
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症例報告による研究で「NSAIDs投与を避けることが推奨」に
――NSAIDsが配合されているものでは、インフルエンザ脳症を発症する可能性があると明言されているケースが多いのは、なぜなのでしょうか?
「インフルエンザ時にNSAIDs投与を避ける根拠としては、1999年にインフルエンザ脳炎・脳症の臨床疫学的研究班による報告が元となっています。
この報告によると、インフルエンザの臨床経過中に脳炎・脳症を発症した181例(うち小児170例)で、NSAIDs(ジクロフェナクナトリウムまたはメフェナム酸)を使用した症例について解析。NSAIDsが使用された症例では、使用していない症例と比較して死亡率が高かったと報告されました。以降、インフルエンザ時にはNSAIDs投与を避けることが推奨されています」
――インフルエンザ脳症は、どうして起きるのでしょうか?
「現在では、インフルエンザ脳症はインフルエンザウイルスが脳血管内皮細胞へ直接感染すること、そして感染の結果、産生されたウイルス蛋白の蓄積が、インフルエンザ脳症の発症の原因とされています。
インフルエンザ脳症は発症が急激で進行が早いので、できる限りNSAIDsの使用は避けて、リスクを軽減したいですね」
「アセトアミノフェン」「イブプロフェン」「ロキソプロフェン」の違いとは
――市販薬の解熱剤では、「アセトアミノフェン」「イブプロフェン」「ロキソプロフェン」が多い印象です。それぞれの特徴、服用に適した症状について教えてください。
「『アセトアミノフェン』『イブプロフェン』と『ロキソプロフェン』に分けて、一般的な特徴や注意点について説明します。ただし、症状や持病などにより適した薬は異なるため、まずは医師や薬剤師に相談するようにしてください」
○アセトアミノフェン
特徴:胃腸障害や喘息発作などの副作用が少なく、作用が穏やかで比較的安全性が高い
注意点:消炎(抗炎症)作用が弱く、痛みを抑える効果はイブプロフェンやロキソプロフェンより弱い。使用量が多くなると肝障害の可能性がある
○イブプロフェン・ロキソプロフェン
特徴:アセトアミノフェンに比べ消炎(抗炎症)作用が強く、鎮痛効果は一般的にロキソプロフェンのほうがイブプロフェンより高い
注意点:副作用にて胃腸障害(胃痛・吐き気等)が現れることがある。腎機能が悪い場合は腎機能悪化を助長する可能性がある。アスピリン喘息(NSAIDs過敏喘息)の場合は、喘息症状が悪化する可能性があるので投与できない
発熱の原因は、さまざまなことが考えられます。薬を飲んでも症状が改善しない場合は、医療機関の受診が必要です。また、市販薬だけでなく、薬は用法や用量を守って服用するようにしましょう。
(Hint-Pot編集部)