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豆苗は生で食べられる? 野菜高騰のなかコスパ抜群 豊富な栄養を効率良くとるポイントを栄養士が解説
公開日: / 更新日:
教えてくれた人:和漢 歩実
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キャベツをはじめ葉物野菜が高騰するなか、比較的リーズナブルに手に入る豆苗。ひょろっとした見た目のイメージとは異なり、体にうれしい栄養成分が豊富な発芽野菜です。物価上昇や感染症の流行が気になる、まさに今の時期における“救世主”のような存在。コスパ抜群の豆苗について、栄養士で元家庭科教諭の和漢歩実さんに伺いました。
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天候の影響を受けにくく価格が安定している豆苗
豆苗はエンドウ豆の若芽です。一般的に、温度や湿度の調節ができる屋内で水耕栽培されています。そのため天候の影響を受けにくく、ほかの野菜が高騰しているときでも価格が安定しており、安く手に入りやすいのも魅力のひとつです。
日本に中国から伝来したのは1970年代。当時は高級中華料理店で使われる程度で希少性が高いものでしたが、90年代半ばから工場で水耕栽培が始まると店頭に並ぶようになり、一般家庭へ普及していきました。
豆苗は、葉がしっかりと開いて緑色が濃く、みずみずしいものを選びましょう。黄色くなったり、しおれたりしているものは鮮度が落ちています。
茎は長すぎないものがおすすめです。茎が長く成長しすぎているものは硬く、食感が悪い可能性があります。根が切り落とされて売られている場合もありますが、日持ちや再生栽培を考えると、根つきのものを選ぶほうが良いでしょう。
豆苗の優れた栄養成分とは
豆苗は、さまざまなビタミンやミネラルが豊富です。とくにβカロテンの含有量が多く、緑黄色野菜として優れた栄養パワーを持っています。βカロテンは必要時に体内でビタミンAに変わり、皮膚や粘膜を強くし、免疫機能を高める効果が期待されています。風邪やインフルエンザなどが気になる季節には、欠かせない栄養成分です。
このほか、けがなどで出血した際に血液を凝固させる働きや骨の形成をサポートするビタミンK、コラーゲンの生成に不可欠なビタミンC、赤血球の生成や細胞分裂、合成に必要な“造血のビタミン”と呼ばれる葉酸などを含みます。余分な水分や塩分を排出し、むくみや高血圧に良いとされるカリウムも豊富です。
生でも食べられる? 栄養メリットを生かすコツ
豆苗のビタミンA(βカロテン)やビタミンKは脂溶性ビタミンなので、脂質との相性が良い特徴を持ちます。シンプルに油で炒めて、塩コショウで味つけして食べると良いでしょう。豆苗のたんぱく質は少量なので、卵やツナ缶、豚バラなどを炒め物で加えると、栄養バランスが整います。
意外かもしれませんが、豆苗は生でも食べられる野菜です。加熱したものよりもエンドウ豆の香りが強く、また違った味わいを楽しめます。ビタミンCやカリウムなど、熱に弱い性質がある栄養成分もくまなくとりたい場合、豆腐やサラダチキンなどと組み合わせて、手軽にできるサラダにしてもおいしいです。ドレッシングは、ノンオイルではないもののほうが、脂溶性ビタミンの吸収率が高まります。
さっと水洗いして食べやすい長さに切った生の豆苗を、ゴマ油、ニンニク、塩などの調味液と混ぜてナムル風に、またはゴマやめんつゆなどと合わせて和え物にすると、一品足りない際にさっと作れて便利です。栄養たっぷりの副菜として、食卓を彩るでしょう。
(Hint-Pot編集部)