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意外に知らない節分は2月3日に固定ではない理由 豆まき3つのタブーも

公開日:  /  更新日:

著者:鶴丸 和子

節分の豆まき(写真はイメージ)【写真:写真AC】
節分の豆まき(写真はイメージ)【写真:写真AC】

 節分といえば、2月3日を思い浮かべるかもしれませんが、2025年は2月2日です。例年より1日早いのはなぜなのでしょうか。また節分の豆まきで、やってはいけないと言い伝えられていることとは? 日本古来の伝承や風習、先人の知恵など諸説に着目するこの連載。今回は、節分について紹介しましょう。

 ◇ ◇ ◇

節分は固定日ではなく、観測された立春の前日

 もともと節分とは「季節の分かれ目」を意味し、立春、立夏、立秋、立冬のそれぞれの前日のことを指します。なかでも立春は、昔は新年の始まりに相当する大きな節目でした。そのため、いつしか節分といえば立春の前日を指すようになり、現代に至っています。

 節分は、2月3日のイメージが強いかもしれませんが、固定日ではありません。節分の翌日の立春をはじめ、春分、夏至や冬至といった二十四節気の暦は、太陽の進行と地球の位置関係で決まるもので、1周するのにずれが生じ、年ごとに変動します。この暦は、国立天文台が観測、計算して決定しているものです。

 ここ数年、2月4日の立春が続いていましたが、2025年は1日早まり2月3日となったため、節分も早まって2月2日になりました。ちなみに2月2日が節分になるのは、4年前の2021年以来です。このとき節分が2月3日でないのは1984年の2月4日以来37年ぶり、そして2月2日になったのは1897年以来124年ぶりと話題になりました。

 来年2026年の節分は、2月3日に戻ります。計算上、この先しばらくは、節分は「うるう年の翌年だけ2月2日」「それ以外は2月3日」となるとみられています。

節分に豆まきをする理由やタブー

 昔から、季節の節目や変わり目には、邪気が忍び込みやすく災いが生じやすいと信じられてきました。心身を清めて過ごす習わしがあり、節分の豆まきもそのひとつ。邪気や悪霊、厄災を豆で打ち払うものとして行われるようになりました。

 そもそも豆は、「魔(ま)を滅(め)っする」ことに音が通じるとされ、鬼の目を打って退治することから「魔目」と呼ばれるといった説もあります。豆まきは「鬼は外、福は内」と言いながら、鬼退治をして福を呼び込むのが作法です。

 地域や家庭によって、豆まきのやり方に違いはありますが、一般的にタブーとされているのは主に次の3つが挙げられます。

○豆まきに生豆を使う
生の豆をまくのは縁起が悪いとされています。「拾い損ねた生の豆から芽が出ると、鬼が戻ってきて不吉なことが起こる」と考えられてきたからです。火を通すことで豆が清められること、また「豆を炒る」が「魔目を射る」に通じるとされています。

○ドアを開けっ放しで行う
ドアや窓などを開けて「鬼は外」で豆をまいたあと、開けっ放しで「福は内」と室内に豆をまくのはタブー。鬼が室内に戻って来るとされています。「鬼は外」で開けたドアはすぐに閉めて、「福は内」をするのがお作法です。現代ではマンションなどの住宅事情で、屋外に豆をまけないこともあるかもしれません。その場合は、窓を開けて窓近くの床に豆をまき、すぐに窓を閉めて室内の中心のほうに豆をまくと良いとされています。

○まいた後に豆を食べない
豆を食べるまでが節分の豆まきです。豆まき後に豆を食べないのはご法度です。節分の炒った豆は「福豆」と呼ばれ、食べると1年間の邪気を払って福を呼び込むといわれています。自分の年齢よりも1つ多い数の豆を食べるのが正式な作法といわれていますが、食べすぎに注意しましょう。

 今年は、いつもより早い節分となりますが、先人たちの思いを馳せながら、豆まきをしてみてはいかがでしょうか。

(鶴丸 和子)

鶴丸 和子(つるまる・かずこ)

和文化・暦研究家。留学先の英国で、社会言語・文化学を学んだのをきっかけに“逆輸入”で日本文化の豊かさを再認識。習わしや食事、季節に寄り添う心、言葉の奥ゆかしさなど和の文化に詰まった古の知恵を、今の暮らしに取り入れる秘訣を発信。
インスタグラム:tsurumarukazu