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「懐石料理」と「会席料理」は何が違う? いまさら聞けない和食のこと 3つの違いとは
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教えてくれた人:和漢 歩実

宿泊施設の食事や和食店などでよく聞く「かいせき」料理。「懐石料理」なのか、「会席料理」なのか、そもそも何が違うのか、迷うことがあるかもしれません。それぞれの特徴とは? 栄養士で元家庭科教諭の和漢歩実さんに伺いました。
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大きな違いは料理が提供される目的、場所、順番
懐石料理と会席料理。読み方が同じなので混同しやすいかもしれませんが、両者には明確な違いがあります。大きく言うと、懐石料理は茶会の料理のことで、会席料理は宴会料理のことです。
一説によると、懐石料理は安土桃山時代に、会席料理は江戸時代に武家が客をもてなすために考案された「本膳料理」から発展したといわれています。主な違いは、3つのポイントです。
1つ目は目的。懐石料理は「お茶をおいしく味わうためのもの」で、会席料理は「お酒をおいしく味わうためのもの」です。
2つ目は、料理が提供される場所です。懐石料理が茶室で提供されるのに対し、会席料理は料亭や宴席で出されます。
3つ目は、料理の順番です。懐石料理では、まずごはんと汁物、そして刺身や酢の物などが提供されますが、会席料理ではごはんや汁物は最後になります。
懐石料理は、お茶の前に軽く食べる料理
懐石料理には本来、お茶をたしなむ前に食べる軽い食事という側面が。客が集まり、抹茶をたてて飲む茶の湯に懐石料理を持ち込んだのが、千利休といわれています。軽く食べておいたほうがお茶をおいしく飲めるという理由から、お茶の前に出される料理という位置づけだったようです。一般的な構成を紹介します。
○懐石料理の構成
・向付け(むこうづけ)……刺身、酢の物など
・汁物
・飯
・椀盛り(わんもり)……肉や魚、野菜を用いた汁の多い煮物
・焼き物……焼き魚
・強肴(しいざかな)……珍味や和え物など
・箸洗い……小吸物
・八寸(はっすん)……山海の幸の肴
・香の物……漬け物
・湯桶(ゆとう)……おこげに湯を注いだもの
懐石料理のなかでも、とくにお茶会のための料理を「茶懐石」と呼びます。八寸などは大皿に人数分が盛りつけられており、各自が取り分ける取り回しが一般的です。