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「これは北斎さんもびっくり」中学生のちぎり絵に驚きの声 一方で「“知的障害の”とつける必要ないのでは?」の意見に父は…
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葛飾北斎の「富嶽三十六景」の1図をちぎり絵で表現した中学3年生の作品がネット上で大きな注目を集めています。投稿した父親のクレぼく(@Euwlq3KgDh46912)さんに詳しい話を聞きました。
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「ちぎり絵で富嶽三十六景はエグすぎる」と称賛集まる
「これが知的障害のある我が息子(中学3年生)が作ったちぎり絵だ!」
2月9日、Xに投稿されたのは1枚のちぎり絵です。19万件の“いいね”が集まる反響となり、「ちぎり絵で富嶽三十六景はエグすぎる」「ちぎり絵ってこんなにパワフルなんやな」「これは北斎さんもびっくりですね!」「背景の黄金色がとても効いてる」「現代の山下清画伯じゃん!」「障害抱えて偏見の目とか大変なこともたくさんあるけど、持っている才能と完成させる努力は揺らがない」「圧倒される」など多くの声が寄せられました。
模写したのは北斎の代表作「富嶽三十六景より神奈川沖浪裏」。荒々しい波とその間でもまれる3隻の舟、遠くに見える富士山の姿をダイナミックに仕上げています。
クレぼくさんは、反響に「息子とは衝突することも多いですが、いただいたコメントを励みに一緒に頑張っていただきたいと思います!」とコメント。一方で、「“知的障害の”とつける必要ないのでは?」との意見が多数あったことを明かし、思いをつづりました。
「これには反論の余地もありません、おっしゃるとおりです。ただ息子は小学校1年生から特別支援学級に入り、2年生では療育手帳を交付され、『障害者』として生きていくことになりました。障がいは個性だ、などと言われることもありますが、すくなくともこの国では『障害者』のレッテルを貼られ、部屋を他の子たちとは隔てられ、生きていくことになります。なぜか。たしかにあえて言う必要はないのかもしれません。でも本人はずっとそれを背負いながら生きてきているのです。掛け算もできません、漢字も書けません、ひとよりも能力がひくいことで下にみられ、まわりからバカにされることも日常的茶飯事です。今回の投稿の目的は息子が学校で描いてきた『ちぎり絵』を発信することで能力の優越にかかわらず、一所懸命に生きているんだぞ! ということを世の中に伝えたかったことと、あとほんの少しの親バカのせいです、、」(原文ママ)と付け加えました。
クレぼくさんによると、作品は展示会等に出品したものではなく、学校の廊下の壁に掲示されたものを撮影したものです。
製作時間は約1週間ほどで、特別支援学級で他の授業も受けながら、一つずつ丁寧に完成させたそうです。
障害があることによる生活への影響については「やはり難しいところで、かんしゃくがあったりこだわりが強かったり、日常生活の中で思い通りに(スムーズに)いくことはほとんどありません」。一方で、投稿からは、そのことも含めて息子を受け入れている親の深い愛情が伝わってきます。
ちぎり絵が多くの目に留まったことには、「私も驚いています」とびっくり。「作品を褒めていただき感謝しているのと、さまざまな思いを持ってコメントなどをいただいているのでそれをかみ締めながら読んでいます。障がいがある人もない人ももっと生きやすい世の中になればいいなと思います」と願いました。
将来、息子はどのような道に進むのでしょうか。
クレぼくさんは「こればっかりはなんともですね」と思案しつつ、「本人の意思と周りの環境が決めることなので、私がどうこう言えることはありませんが、どういう形であれ幸せであってほしいです」と結びました。
(Hint-Pot編集部/クロスメディアチーム)