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「日本人が誇りに持って良いこと」 ニューヨークでは「なかなか見つからない」 日本人男性が困ったこととは
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アメリカ・ニューヨークといえば、経済からファッション、芸術まで、さまざまな分野で発展した世界トップクラスの都市です。ニューヨーカーのスマートでキラキラとした生活に憧れている人も多いと思いますが、実はそうとばかりは言えない事情もあるようです。妻の海外赴任に伴い、ニューヨークで駐在夫、いわゆる「駐夫(ちゅうおっと)」になった編集者のユキさん。この連載では「駐夫」としての現地での生活や、海外から見た日本の姿を紹介します。第20回は、ニューヨーク暮らしでちょっと困ることについてです。
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トイレを見つけるのは至難の業
「コロナビール! あとトイレを貸してもらっても良いですか」
そうバーカウンターで店員に伝えると、慌ててトイレに駆け込みました。
ある日、夕方前にセントラルパークをジョギングしているときに、ふとトイレに行きたくなりました。公園内には、何か所も公衆トイレが設置されています。
その日もいつも通りトイレへ向かうと、ドアが閉められていて、カギを開けることができません。
なるほど、と思いました。夕方以降、防犯のためでしょうか。セントラルパーク内のトイレは扉が閉められてしまうのです。
仕方がないので、一番近い公園の出口から外に出てお店を探します。すると、通りにダンキンドーナツを見つけたので、何かを注文して、トイレを借りようとするのですが、このお店にはそもそもトイレがありません。
結局、通り沿いをしばらく歩いて、セントラルパークの東側の北端、ハーレムのあたりでバーを見つけて、ようやく用を足すことができました。ビールを飲んで、少し多めにチップを渡して店を出ます。
ニューヨーク、マンハッタンでは、トイレがなかなか見つからないということがよくあります。トイレが設置されている地下鉄の駅は少なく、いざというときすぐに駆け込める場所が意外にありません。
日本では、駅にはまずトイレが設置されていますし、あくまでお店側の善意ですが、コンビニエンスストアでも困ったときにトイレを借りることができます(最近は使用する側のマナーの問題もあり、禁止しているところも多いですが)。
そんなわけで、よく利用するのは図書館です。ニューヨーク市内には、至るところに公共図書館があり、比較的すぐ見つかります。お金もかかりませんし。
日本人が誇りに思って良いトイレ文化

さて、そのトイレなのですが、こちらで日本と違うなと感じるのは、図書館やお店でトイレを借りるときに、カギを借りたり、ロックを解除するための暗証番号を聞いたりする必要があるところがけっこうあること。これは防犯のためでしょう。
また、お店に入って気になるのは、このようなステッカーを見かけることです。
“Employees Must Wash Hands Before Returning To Work”(従業員は仕事に戻る前に手を洗いなさい)
おそらく、コロナ禍以降なのではないのでしょうか。多くのお店のトイレ内に貼られています。私が2年前にニューヨークへ来たときにはすでにあったので、それ以前からあったのかはわかりませんが。
そもそも、従業員であろうとなかろうと、用を足したら手を洗うことは当然なのではないかと。手を洗わない人をよく見かけるわけではないですが、こういったところからも衛生意識の違いが感じられます。
利便性や清潔さ、機能性など、トイレについては日本のほうが圧倒的にレベルが高いでしょう。こちらでウォッシュレットのトイレを見かけたのは一度きりで、日系のダイニングレストランでのことでした。
また先日、旅行で日本に行ってきたというニューヨーク在住のブラジル人の女性が、便座が温まることと、水が流れる音を出し排泄音を消すといった日本のトイレに感動したそうです。
トイレのレベルを見れば、そのお店が繁盛しているかどうかがわかるなどといわれていますが、日本人が誇りに思って良いことではないかと思います。
(ユキ)