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断面が青い大根は食べられる? 黒くなっているものはカビの場合も 原因や対処方法を栄養士に聞いた

公開日:  /  更新日:

著者:Hint-Pot編集部

教えてくれた人:和漢 歩実

幅広い料理に活躍する大根(写真はイメージ)【写真:写真AC】
幅広い料理に活躍する大根(写真はイメージ)【写真:写真AC】

 煮物やおでん、鍋物をはじめ、生でサラダやおろしなど、さまざまな料理に活用できる大根。丸ごと一本ストックしている方もいるでしょう。しかし、いざ料理に使おうと切ってみたら、断面が黒かったり、青かったりした経験があるかもしれません。これは食べても問題ないのでしょうか。栄養士で元家庭科教諭の和漢歩実さんに伺いました。

 ◇ ◇ ◇

大根の中身が黒くなる原因とは

 大根を使おうと切ったら断面が黒かった場合、次の2つの可能性が考えられます。

 ひとつは黒カビで、この場合は食べられません。大根は日持ちする野菜ですが、保存期間が長いとカビが生えることがあります。黒カビは、表面または断面の一部に発生することが多いです。また、異臭がすることもあります。

 カビの生えた部分を取り除いたとしても、大根は水分が多い野菜なので、ほかのところまで菌が入り込んでいる可能性もあります。うっかりカビを食べてしまうと、アレルギーを起こしたり、食中毒やがんの原因になったりすることも。カビが生えていた場合は、すべて食べずに処分するようにしましょう。

 2つ目は「ダイコンバーティシリウム黒点病」という土壌菌によるもので、大根の皮の内側にある維管束に黒点が出る症状です。この場合は、食べても健康に害はありません。ただし、食感が硬くなって味も落ちているため、その部分を取り除いたほうが良いでしょう。

 黒カビと異なるのは、皮に発生せず、輪切りした際に断面が輪を描いたように黒くなる点です。表面からは見分けられないので、切ってみて初めてわかります。

切った大根の色が違うケースも

 ほかにも、大根を切ってみたら変色しているケースは2つあります。

○中心部が青い場合
「ダイコン青変症」が発生していると考えられます。これは収穫後、大根の内部組織に青色の色素ができる生理現象です。表面は通常の見た目と変わらず、中心部にだけ生じる特徴があるため、カットするまでわかりません。食べても健康上に問題はないとされていますが、苦みがあり硬く、風味や食感も落ちています。

○中心部が薄紫色の場合
「水晶現象」の可能性があります。成長過程において大根の水分量が多くなってしまった、または保存時の温度変化など環境が原因で起こるものです。食べても健康上の問題はありませんが、食感も味も落ちています。

 黒カビ以外で黒や青、薄紫に変色した大根は、食べても害はないとされています。ただし、食感や味が落ちているため、生で食べるよりも煮物やおでん、鍋料理など加熱調理したほうが、気にならずにおいしく食べられるでしょう。

大根の保存方法や選び方のポイント

 大根のおいしさを保つために、適切な保存方法を覚えておきましょう。大根は湿気を嫌います。冬場はペーパーに包み、風通しの良い冷暗所で常温保存が可能です。それ以外の季節は冷蔵庫の野菜室に保存して、カビを防いでください。リビングダイニングキッチンなど室温が一定である家屋の場合は、季節を問わず冷蔵庫保存が良いでしょう。

 葉付きの場合は、葉から水分が蒸発するので、購入後すぐに葉を切り落として別々に保存します。大根の葉は、βカロテンやビタミンC、カルシウムなどの栄養成分が豊富です。捨てずにチャーハンの具材や炒め物、みそ汁の具材などに活用すると、おいしく食べられます。

 一本丸ごと買う場合は、ずっしり重く、ヒゲ根が少なめで毛穴が浅く、まっすぐで表面がなめらかなものを選ぶと良いです。ダイコン青変症やダイコンバーティシリウム黒点病は切るまでわかりませんが、購入の際は選ぶべきポイントを押さえておきましょう。

(Hint-Pot編集部)

和漢 歩実(わかん・ゆみ)

栄養士、家庭科教諭、栄養薬膳士。公立高校の教諭として27年間、教壇に立つ。現在はフリーの立場で講師として食品学などを教える。現代栄養と古来の薬膳の知恵を取り入れた健やかな食生活を提唱。食を通して笑顔になる人を増やす活動に力を注いでいる。
ブログ:和漢歩実のおいしい栄養塾