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痩せ型なのに脂肪肝? 内臓脂肪の溜めすぎは大きなリスクに 対策を医師に聞いた

公開日:  /  更新日:

著者:Hint-Pot編集部

痩せ型女性であっても、脂肪肝と診断されることが…(写真はイメージ)【写真:PIXTA】
痩せ型女性であっても、脂肪肝と診断されることが…(写真はイメージ)【写真:PIXTA】

「メタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)」の国内基準が決定された2005年から、今年でちょうど20年。メタボリックシンドロームとは、動脈硬化や心筋梗塞などのおそろしい生活習慣につながる病態のことです。内臓脂肪蓄積や高血圧など、複数要因が絡み合った状態をいいます。実は、内臓脂肪が過剰に蓄積されたままだと、長生きできなくなる可能性があるほか、健康寿命までもが縮むおそれも。今回は、日本肥満学会名誉会員の宮崎滋医師と、東京大学未来ビジョン研究センターの古井祐司特任教授に、内臓脂肪を過度に溜めていることのリスクと、内臓脂肪を減らす対策について伺いました。

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内臓脂肪を過度に溜めるリスク

 近年はリモートワークやIT化が進んだことで運動不足になり、内臓脂肪型肥満が増加傾向にあります。放置すれば、とくに40代以降に、心臓病や脳梗塞などの深刻な疾病の発症リスクが上がります。

 また、ダイエットとして糖質制限を行う方も多いですが、その場合にカロリーの多くを脂質から摂取してしまっているようです。低体重の痩せ型女性でも脂肪肝と診断されることがありますが、脂質の過剰摂取が原因かもしれません。

 さらに、内臓脂肪型肥満は、労働生産性の低下にもつながる可能性があります。内臓脂肪が増えるとインスリンの関係で血糖値のコントロールがしにくくなり、集中力を維持しづらくなります。

 ほかにも、肥満によって首回りに脂肪がつくと気道が狭くなってしまうため、睡眠中に何度も呼吸が止まる睡眠時無呼吸症候群のリスクが高まります。すると睡眠の質が低下し、脳の酸素不足から、日中の眠気や集中力の低下を招くことがあります。

脂肪が増えすぎないようにする基本はカロリー調整

宮崎滋医師
宮崎滋医師

 内臓脂肪型肥満を解消するには、食事や生活習慣を改善することが大切です。

 食事では動物性脂肪のとりすぎに注意するとともに、カロリーを調整することが有効です。まず「摂取カロリーが消費エネルギーを上回ると太り、下回ると痩せる」という原則を理解しましょう。消費エネルギーとは「基礎代謝+身体活動で消費するエネルギー」のことです。

 同じ体積でもカロリーが低いものを選択するなどして、摂取カロリーが消費エネルギーを上回らないように調整しましょう。ただし、摂取カロリーを減らしたいからといって、一切間食をしないといった極端なことはおすすめしません。たとえば、週に1回は間食しない日を設けることから始め、週2回など段階的に増やしていきましょう。

 食べるという人間の本能に過大な負荷をかけ続けるのはストレスを生みますので、ときには食べたいものを食べたいだけ食べることも大切です。一方で、ストレスを感じているときにおいしいものを食べると、幸せホルモン「ドーパミン」が大量に分泌されることで、ドカ食いしてしまいがちです。食べすぎて後悔しないためにも、イライラ、不快な気分のときに食事や間食を取るのは避けるなど、工夫してみてください。

 筋トレで基礎代謝を上げるのも有効なので、時間に余裕がある方は試すといいでしょう。