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長ネギの緑の部分、捨てていない? 白い部分との栄養の違いは 栄養士に聞いた

公開日:  /  更新日:

著者:Hint-Pot編集部

教えてくれた人:和漢 歩実

さまざまな栄養成分が含まれる長ネギ(写真はイメージ)【写真:写真AC】
さまざまな栄養成分が含まれる長ネギ(写真はイメージ)【写真:写真AC】

 昔から「風邪にはネギ」といわれるように、さまざまな栄養成分を含む長ネギ。薬味として用いられることから、生食したほうが栄養メリットをたくさん摂取できるイメージがありますが、焼いたほうが良いといわれることもあります。実際はどうなのでしょうか。また、白色と緑色部分の栄養面での違いとは? 栄養士で元家庭科教諭の和漢歩実さんに伺いました。

 ◇ ◇ ◇

長ネギは部位によって栄養成分に違いがある

 長ネギは、白色の部分と緑色の部分によって栄養の特徴が異なります。

 白色の部分は、ビタミンCとアリシンが豊富です。ビタミンCはコラーゲン生成に欠かせない栄養素で、抗酸化作用があります。アリシンは、ネギ独特の刺激臭と辛味成分です。血流促進や殺菌効果、疲労回復に関係するビタミンB1の吸収率をアップする働きが期待できます。風邪や免疫力が気になる時期におすすめの食材と言えるでしょう。

 このほか、“造血のビタミン”と呼ばれる葉酸、体内の余分な塩分や水分を排出し、むくみや高血圧の予防に大切なカリウム、腸内環境を整える食物繊維が含まれています。

 一方、緑色の部分は、ビタミンCやアリシンのほかにβカロテン、カルシウム、ビタミンKが多いのが特徴です。βカロテンは必要時に体内でビタミンAに変わり、目や皮膚などの粘膜を保護し、免疫機能のサポートに寄与します。また、カルシウムやビタミンKは骨の健康に欠かせません。

 緑色の部分のネバネバしたものは、水溶性食物繊維の一種、フルクタンによるものです。腸内環境を整えて免疫機能を高めたり、食後の血糖値やコレステロール値、血圧などの上昇を抑えたりするのに役立ちます。

調理方法によって栄養メリットが変わる

 長ネギを生食する栄養メリットは、加熱すると壊れやすいビタミンCやアリシンを摂取できる点にあります。細かく刻んで、薬味として生のまま食べると良いでしょう。ただし、刺激が強いので、胃腸が弱い方は食べすぎに注意してください。

 焼いたほうが良いといわれるのは、βカロテンが関係しています。長ネギの細胞壁が壊れ、体内への吸収率がアップするためです。また、βカロテンは油に溶ける性質があるので、ゴマ油などを少しかけると良いでしょう。加熱することで辛味成分のアリシンが損失するので、生食よりもアリシンの効果は減りますが、甘味と旨味が増して食べやすく、胃腸にも優しくなります。

部位や調理方法を変えて食べよう

 つまり、長ネギの栄養メリットを最大限に生かすには、部位と調理法に応じた食べ方がポイントです。白色の部分に多く含まれる、水溶性のビタミンCやアリシンを効率良く摂取するためには、生食が適しています。脂溶性のβカロテンを効果的に摂取するなら、焼いた緑色の部分を油脂と一緒に食べると、より効率的に体に取り込めます。

 長ネギは、白色の部分が長くてツヤがあり、巻きがしっかりしているものがおいしいといわれています。白色の部分と緑色の部分との境目がはっきりしているものが良いでしょう。

 春先など、新生活が始まる前は何かと忙しい時期。長ネギの栄養パワーを逃さず摂取するために、部位や調理法を変える工夫をして、日々の食事に取り入れてみてはいかがでしょうか。

(Hint-Pot編集部)

和漢 歩実(わかん・ゆみ)

栄養士、家庭科教諭、栄養薬膳士。公立高校の教諭として27年間、教壇に立つ。現在はフリーの立場で講師として食品学などを教える。現代栄養と古来の薬膳の知恵を取り入れた健やかな食生活を提唱。食を通して笑顔になる人を増やす活動に力を注いでいる。
ブログ:和漢歩実のおいしい栄養塾