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「つまらないものですが」 昭和の決まり文句は失礼? 知らないと恥ずかしい手土産のマナー

公開日:  /  更新日:

著者:Hint-Pot編集部

教えてくれた人:和漢 歩実

春は手土産を持参する機会が増える(写真はイメージ)【写真:PIXTA】
春は手土産を持参する機会が増える(写真はイメージ)【写真:PIXTA】

 春は、取引先への新年度のあいさつ、異動・転勤のあいさつ、親戚や知人との集まりなど、さまざまなシーンで手土産を持参する機会があるでしょう。どのタイミングで渡すのが適切か、紙袋から出して渡すべきか、どのような言葉をかけると良いかなど、いろいろと迷うことも。恥ずかしい思いをしないために、基本を押さえておきたいところです。手土産のマナーについて、元高校家庭科教諭の和漢歩実さんに伺いました。

 ◇ ◇ ◇

あいさつが済んだあと、袋から出すのが原則

 手土産は、訪問先であいさつが済んでから渡すものです。部屋に入ってあいさつが終わったら渡しましょう。ビジネスシーンなら、部屋で名刺交換をしてから渡します。部屋へ入らずに失礼する場合は、玄関先や出入り口でのあいさつ後に渡すのが基本です。レストランなど外食の席では、相手の邪魔にならないように、食事が終わって帰るタイミングで渡します。

 紙袋に品物を入れて訪問するのが一般的ですが、袋には持ち運びやすさのほか、「ホコリ除け」の役割もあるため、袋ごと渡すのは失礼に当たります。訪問先では紙袋から出し、両手で相手の正面に向けて差し出すのが作法です。紙袋はそのまま持ち帰りましょう。

 ただし、手土産を外で渡す際、袋がないと相手が持ち帰るのに不便なケースもあります。そのような場合は「袋に入れたまま失礼します」などの言葉を添えて渡すと良いでしょう。

「つまらないものですが…」は、今は通じない?

 手土産を渡す際は、決まり文句の「つまらないものですが」と言うのが一般的なマナーとされていました。とくに昭和生まれの方は、そのように習った記憶があるかもしれません。これは、本当に品物が「つまらないもの」だという意味ではなく、謙遜の意味があるといわれています。自らへりくだって相手を立てる、日本特有の奥ゆかしい文化の一環として、贈り物を控えめに表現することが美徳とされていました。

 しかし、現代では「つまらないもの」と言われると「なぜ、わざわざつまらないものを贈るのか?」と違和感を覚える人も。とくに若い世代やビジネスシーンでは、素直な気持ちを伝えることが重視され、この表現を避ける傾向にあります。

 こうした背景から、手土産を渡す際は、よりポジティブな表現を用いると良いでしょう。たとえば、「おいしかったので、ぜひ食べてもらいたくお持ちしました」や「おくちに合えばうれしいです」「感謝の気持ちを込めて、お持ちしました」などです。