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単身赴任中、妻が裏切り行為 貯金を切り崩すほどの浪費…夫がすべきだったことを夫婦カウンセラーがアドバイス
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教えてくれた人:夫婦カウンセラー・原嶋 めぐみ

春は転勤が多い季節。新たな環境になり、夫婦の関係性が変化することもあります。今回は、アメリカへの単身赴任がきっかけで妻と離婚したという男性に話を聞きました。海外赴任は一見するとうらやましいですが、人知れぬ苦労も多いよう。どのようなトラブルが起きたのでしょうか。夫婦カウンセラーのアドバイス付きでお送りします。
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日本に残った妻がまさかの行動
東京在住の山本壮太さん(仮名・51歳)は、40代でニューヨークでの海外駐在を打診され、単身でアメリカへ赴きました。単身赴任を選択したのは、当時高校生だった娘が引っ越しに反対したことと、英語をまったく話せない妻が嫌がったため。長期休暇を利用して一時帰国したり、家族に来てもらったりすればいいと納得したといいます。
壮太さんによると、海外駐在にあたり、給料の大幅なアップがありました。
「海外赴任手当といった各種手当や、赴任国での税金周りが会社負担になるなどもあり、国内で働いているときの倍の給料になりました」
日本の自宅は壮太さんの親が遺したもので、家賃やローンがありません。そこで壮太さんは、娘の進学費用や自分たちの老後資金をこれまで以上に効率的に貯めるチャンスだと、渡航前に妻と話し合ったそうです。
妻と約束をしたこともあり、壮太さんも現地では自炊するなど、できるだけ生活費を切り詰めるよう努めたといいます。ところが、赴任から10か月経って一時帰国すると、驚きの事実を知ることに。
「1日目は穏やかに過ごしたのですが、次の日にどれくらい貯蓄できたか聞いてみたんです。そうしたら、妻はだんまりで。夫婦の寝室のクローゼットを開けたら、見知らぬハイブランドのバッグがずらっと並んでいたんですよね」
ブランド品にあまり詳しくないものの、5万円や10万円では絶対に買えないものであろうことは、壮太さんにもわかりました。妻に理由を聞くも「寂しかったから、買っちゃった」「あなただって毎月、アメリカで20万円以上使っているじゃない」と言い訳ばかり。もちろん、壮太さんが使っているのは赴任先での生活費です。
銀行の通帳を確認すると、送っていたお金のほとんどがクレジットカードの支払いに使われていて、貯金はまったくされていませんでした。それどころか、過去の貯蓄も切り崩されていたといいます。
「愕然としましたね。単身赴任前は定期的に貯金額を共有してもらっていたこともあり、妻のことを完全に信じていました」
その後、娘を加えて家族会議を開いた結果、壮太さんが家計を管理することに。妻に渡す生活費用の口座はインターネットバンキングを利用し、壮太さんが見守れるようにしました。妻からは「見張られているようで息が詰まる」と言われましたが、大学進学を目指す娘からの説得もあり、最終的には納得しました。
その後、しばらくはおとなしくしていたそうですが、1年ほど経った頃に娘から連絡があり、また浪費をしていることが発覚。キャッシングを利用していたこともあり、壮太さんは帰国後、しばらく話し合いを重ねましたが離婚しました。
お金には人を変える力がある だからこそ注意を
「お金の問題で離婚になる夫婦は少なくありません」と話すのは、夫婦カウンセラーの原嶋めぐみさん。
「あくまでも私の想像ですが、『寂しかった』のは本当のことだと思います。その後の経緯をお聞きしていると、仕事の都合上難しかったかもしれませんが、最初の問題が発覚した時点で壮太さんが帰国する。それが難しくても、浪費癖が再開しているのを知った時点でカウンセリングを受けるなど、専門家を頼ったほうが良かったのかもしれません」
原嶋さんは、壮太さんが普段からどれだけ妻を気にかけていたのかも疑問だと指摘します。
「時差の問題もありますが、毎日のようにビデオ通話やメッセージのやりとりはしていたのでしょうか? こまめに連絡を取り合っていれば、妻の異変に気がついたかもしれません。また、まめに帰国する、会ったときはできる限り愛情を示す。こうしたことは必ず行うようにしましょう」
もちろん、お金の価値観を夫婦ですり合わせ、ルールを決めておくことも大切だといいます。
「物を買うのが好きなのか、体験や思い出に使いたいタイプなのかなど、お金を使う際は何に重きを置くのか、夫婦で理解し合っておくといいでしょう。また、『高価な物を買うときは必ず相談する』など、家族間でルールをあらかじめ決めておきたいですね」
お金には人の心の隙間につけ込む魔力があり、どんなに愛情豊かな夫婦間でも、それは変わらないと原嶋さん。
「お金に対する価値観は、その大小によっても変化します。そのため、壮太さんの場合のように『昔は違ったのに』ということも簡単に起こり得ます。こうした価値観の変化を防ぐためにも、普段から夫婦間で会話し、どんな些細なことでも話し合い、互いの価値観を常に確認するようおすすめします」
(和栗 恵)