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大学院在籍中に妊娠→異例の“子連れ復帰” 教授に救われた「いいんじゃない?」のひと言
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日本社会では、学生時代の妊娠がその後のキャリアにさまざまな影を落とすという現実があり、休学や退学を余儀なくされる例も珍しくありません。17年前、大学院在籍中に妊娠するも、理解を示してくれた当時の教授への感謝をつづった投稿が大きな話題を呼んでいます。投稿者のじゃす@藤間富輝(ふき)でございます(@jus_DIY)さんに、詳しい話を聞きました。
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この春退任を迎えた教授の記念祝賀会に、出産直後からお世話になった娘と晴れ着姿で参加
「大学院2年で娘を妊娠した時、休学した方がいいかと聞いた私に『休学しなくて大丈夫じゃない?』 冗談で赤子連れて来ていいかと聞いた私に『いいんじゃない? 連れておいでよ』 というわけで娘は1年間医局に在籍してました そうやって私たち母娘を受け入れてくださった素敵な教授です 感謝」
先月24日、SNS上に投稿された写真には、この春退任を迎えた教授の記念祝賀会に、晴れ着姿で参加した母娘の様子が収められています。もう1枚の写真には、「医局を癒し続けてきたことを証します」と記された“修了証”の傍らに、笑顔でたたずむ1歳の女の子の姿が。16年前、投稿者が大学院を卒業した当時の娘の写真だといいます。
現在44歳の投稿者は、2008年、大学院歯学研究科3年生のときに長女を出産。休学を申し出た投稿者に、当時の研究室の教授は子連れでの研究を勧め、投稿者は産後約3か月で大学院に異例の子連れ復帰を果たしました。その後は教授や周りの教職員のサポートもあり、無事大学院を卒業することができたそう。卒業後、投稿者は職員として大学勤務が決まった一方、大学には託児所がないため、娘は保育園に通うことに。0歳から1年間通った医局を去る娘に、教授が特別に作ってくれたのが、写真の「修了証」だといいます。
時の流れを感じさせる2枚の写真には、4000件を超えるリポストと9万件もの“いいね”が寄せられており、「素敵なエピソードですね」「なんて素敵な教授。きっとこの優しさのバトンは他の方にも繋がれるんだろうな」「娘さん、人生初の修了証」「なんと素敵なお話!」「こういうのみると、大学院在学中に結婚してもいいんじゃないかと思えてくる」など、感動の声が相次いでいます。
「娘の医局在籍期間は生後3か月から1歳0か月の1年間、その間に教授にはたくさんかわいがっていただきました。娘の実の祖父たちよりも『じぃじ』をしてくださいました」と投稿者。その後、投稿者が医局を退職するなど、仕事の都合もあり娘を会わせる機会は減っていったものの、「今回教授が退任ということで、17歳になった娘を合わせ感謝を伝えたくて退任祝賀会に出席しました。教授なくして娘の赤ちゃん時代は語れません」と投稿の経緯を語ります。
投稿の反響は大きく、一部からは無計画な妊娠についてのネガティブな意見や、反対に「本来これが当たり前」「これが普通になればいい」といった意見も多く寄せられたそう。
一連の反響について、投稿者は「無計画な妊娠については、そのせいで周りの方々に迷惑をかけたことは紛れもない事実です。ですので、もうずっとサポートしてくださった皆様には頭が上がりません。また、『育児環境はこうあるべき』という声もたくさんありましたが、私はみんながみんな教授や私のようにするべき、とは思っていません。周りに迷惑や負担をかけたことは事実です。教授の決断だけでなく、周囲のサポートなくして、あの環境はあり得ませんでした。『当たり前』ではなく、『ありがたい』環境であったことを、これからも忘れてはならないと思っています」と話しています。
(Hint-Pot編集部/クロスメディアチーム)