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「五月病」は子どもにも 新学期やクラス替えのタイミングは注意を 専門家が解説

公開日:  /  更新日:

著者:Hint-Pot編集部

教えてくれた人:町田 奈穂

「子どもが五月病かも」と感じたときの対処法

 もし「子どもが五月病かもしれない」と感じたら、「学校に行く・行かない」を決める前に、まずは子どもの気持ちを聞くことが大事です。保護者は「頑張らなくていいよ」「今日はおうちでのんびりしてようか」「まずはゆっくり話そうか」など、子どもに優しく声をかけます。そのうえで、子どもの気持ちを聞くときは、否定せずに「うん、うん」と聞いてあげてください。

 カウンセリングの現場では、保護者の方に「体調が悪いときと同じように、心が疲れたときも休むことが大切です」とお伝えしています。

 また、段階的に子どもの心に寄り添っていくことも重要です。初期段階では「疲れているよね。無理しなくていいよ」と、しっかり休ませてあげることが大切です。「頑張らなきゃ!」と思いやすい子には、放課後や週末の予定を調整して、できるだけ体を休めるようにしてあげましょう。

 心身ともにしっかり休むことができ始めたら、次の段階としては、少しずつ話を聞いて「どうしたら安心して過ごせるかな?」と、一緒に考えていきます。無理に学校へ戻すことより、毎日の生活リズムが崩れないようにすることが大事です。

「今日は○○がしたいな」など子どもから前向きな言葉が出てきたら、それは元気が戻ってきているサインです。ですが、決して焦らないでください。ちょっとしたことで疲れやすくなる場合もあります。

 保護者の方には、「生活リズムを整えておく」「予定にゆとりを持たせる」「無理に頑張らせない」「小さな変化を一緒に喜ぶ」「学校へ戻すことを急がない」ことを心がけていただけたらと思います。

 症状が長く続くとき、対処に迷うときは、医療機関や専門家にも相談してください。

普段から子どもが「安心できる空気」づくりを

 子どもの五月病を防ぐためには、普段から「どんな気持ちでも言っていいんだよ」「つらいときは話していいんだよ」と伝えて、安心できる空気を家庭で作っておくことが重要です。

「嫌だな」「しんどいな」と感じているときに、「どうしたの?」と声をかけてもらえるだけで、子どもはホッとします。子どもの小さな変化に早めに気づくことが大事です。

 気持ちを言葉にしにくい子には、テレビを消して、音楽だけの静かな時間を作り、家族でソファに座ってのんびりする時間を持つのもおすすめです。心がゆるむ場所を整えてあげることが、予防につながります。

(Hint-Pot編集部)

町田 奈穂(まちだ・なほ)

公認心理師、臨床心理士。同志社大学大学院在学時より、睡眠障害や発達障害に苦しむ人々への支援や研究活動を行う。修了後は学校やクリニックを経て、「大阪カウンセリングセンターBellflower」を設立。不眠症のカウンセリングやメンタルヘルス支援などを行う。現在は、臨床・研究活動に加え、インクルーシブな職場作りをサポートする人事コンサルタントとしても活動している。