からだ・美容
飲酒時に注意が必要な人の特徴は? 楽しく飲むために心がけたいこと 医師に聞いた
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教えてくれた人:矢加部 文

新年度になって、お酒を飲む機会が増えている人もいるでしょう。ただし、飲みすぎには注意したいところ。とくに女性の場合は、男性よりもアルコールの分解能力が低いため酔いやすく、健康への影響も出やすいといわれています。前編の乳がんと飲酒との関係に続き、日本乳癌学会乳腺認定医である矢加部文医師に、後編では女性とお酒の上手なつきあい方について伺いました。
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男性よりも女性のほうが酔いやすい理由
女性のほうが酔いやすい理由のひとつに、分解酵素の量が挙げられます。アルコールは肝臓で分解されますが、女性の場合、この分解に関わる「アルコール脱水素酵素」の量が、男性に比べて少ない傾向にあるのです。
そのため、アルコールを分解する速度が遅く、血中アルコール濃度が上昇。結果として、酔いやすくなってしまうのです。
また、体格の違いも影響します。平均的に、女性は男性よりも体重が軽く、体脂肪の割合が高い一方で筋肉量は少なめです。筋肉は水分を多く含み、また、アルコールは水に溶けやすい性質があります。
つまり、体内の水分量が多いほどアルコールが薄まって、酔いにくくなるのですが、女性は筋肉が少ない傾向にあるので、アルコールが薄まりにくく、体に回りやすくなります。これも酔いやすさの一因です。
お酒を飲む際、とくに注意が必要な人の特徴
お酒を飲むとすぐに顔が赤くなる人は、とくに注意が必要です。アルコールが体内で代謝されるとき、アセトアルデヒドという物質が生じます。これはDNAを傷つけ、がんの発症リスクを高める原因になる可能性があるものです。
アセトアルデヒドを分解する酵素が少ない人ほど、飲酒で顔が赤くなりやすい特徴が。ちなみに日本人は、欧米人に比べると、この酵素が少ない体質の人が多いことがわかっています。
健康的に、楽しくお酒を飲むために心がけたいこと
リラックス効果があったり、人との会話が弾んだり、適量であれば、飲酒には良い面もたくさんあるでしょう。ただし、飲みすぎないように心がけてもらいたいです。女性は、上記の理由からアルコールに弱い傾向にあります。また、前編で触れましたが、過度の飲酒によって乳がんの発症リスクが高まるといった報告も。正しく、健康的に楽しみましょう。
厚生労働省の「飲酒ガイドライン」によると、生活習慣病のリスクを高める飲酒量は、女性は20グラム以上(1日あたりの純アルコール量)とされています。純アルコール量とは、お酒に含まれるアルコールの量のこと。20グラムをお酒の量に換算すると、アルコール度数5%のビールなら500ミリリットル、12%のワインなら200ミリリットルです。
ひとりで家飲みしていると、量がわからず、際限なく飲んでしまう可能性があるので、気をつけてください。楽しい場面で少量をたしなみ、自分も周りも“ご機嫌”でいられることが大事だと思います。
(Hint-Pot編集部)