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お酒と相性が悪い飲み物 組み合わせで不調が高まるリスクも 気をつけるポイントとは

公開日:  /  更新日:

著者:Hint-Pot編集部

教えてくれた人:和漢 歩実

レジャー日和が増え、お酒もおいしい季節(写真はイメージ)【写真:写真AC】
レジャー日和が増え、お酒もおいしい季節(写真はイメージ)【写真:写真AC】

 気温が上がり、レジャー日和が増えてくる季節。キンキンに冷えたビールなど、お酒がおいしいシーズンでもあります。お酒を飲んでいると、なんとなく水分補給ができているように感じますが、実は知らず知らずのうちに脱水を招いていることも。さらに、組み合わせによっては不調のリスクが高まる、相性の悪い飲み物もあるそうです。飲酒の際に気をつけたいポイントを、栄養士で元家庭科教諭の和漢歩実さんに伺いました。

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飲酒時は、利尿作用とアルコール分解で脱水しやすい

 お酒を飲むと脱水しやすくなる理由は、大きく2つあります。

 1つ目は、アルコールの「利尿作用」です。とくにビールではこの傾向が顕著で、「健康のため水を飲もう」推進委員会によると、たとえばビールを10本飲んだ場合、11本分の水分が体内から排出されるとされています。冷やして飲むことにより自律神経を刺激し、尿意を早める原因にも。つまり、飲んだ以上に尿として出てしまうため、気づかないうちに脱水状態になってしまうのです。

 2つ目は、「アルコールの分解」によって水分が使われる点です。飲んだアルコールは肝臓で分解され、最終的には水と二酸化炭素になりますが、この分解の過程でも体内の水分が必要とされます。水分が不足して脱水症状が進行すると、嘔吐、ふらつき、頭痛などの不調を引き起こす恐れもあるため、注意が必要です。

 そこで、飲酒時には脱水を防ぐための水分補給が欠かせません。とくに暑い季節や屋外での飲酒は、汗によって水分が失われます。お酒とは別に、同じくらいの量の水分をとるように意識してください。

飲酒時に避けたい飲み物とは?

 飲酒時の水分補給として向いている飲み物は、カルシウムやマグネシウムなどのミネラルが溶け込んでいる、飲みやすい軟水が良いでしょう。水道水や麦茶でも問題ありません。

 一方、炭酸飲料やジュースなどの清涼飲料水は、糖分が多く含まれているため、水分補給には適していません。控えるほうが好ましいです。

 もっとも注意が必要なのは、カフェインを含む飲み物です。緑茶や紅茶、コーヒーなどは、アルコールと同じように利尿作用があるため、さらに体内の水分を失いやすくなってしまいます。

 とくにカフェインを多く含むエナジードリンクは、アルコールと一緒に飲むのは避けたいところです。カフェインの刺激によって脳が覚醒状態になり、アルコールの酔いを感じにくくなってしまいます。その結果、つい飲みすぎてしまい、時間がたってから急激にアルコールの作用が出てくることもあります。場合によっては、急性アルコール中毒などのリスクが高まる恐れもあるため、十分に注意が必要です。

 一般的な健康指針として、健康な成人の場合、カフェインの摂取量は1日400ミリグラムまでとされています。目安としては、緑茶(煎茶)で約2リットル、コーヒーでいうと600ミリリットルです。

 また女性の飲酒に関しては、「1日の純アルコール摂取量が20グラム以上になると、生活習慣病のリスクが高まる」とされています。アルコール度数が5%のビールでいえば、中瓶1本(500ミリリットル)まで。それぞれ摂取量が範囲内であっても、一緒にとってしまうと、リスクがある組み合わせです。

 飲酒時の水分補給は、いわゆる「チェイサー」として、お酒と交互に水をこまめに飲むスタイルがおすすめです。

(Hint-Pot編集部)

和漢 歩実(わかん・ゆみ)

栄養士、家庭科教諭、栄養薬膳士。公立高校の教諭として27年間、教壇に立つ。現在はフリーの立場で講師として食品学などを教える。現代栄養と古来の薬膳の知恵を取り入れた健やかな食生活を提唱。食を通して笑顔になる人を増やす活動に力を注いでいる。
ブログ:和漢歩実のおいしい栄養塾