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からだ・美容

「鏡を見たくない」 治りにくい“ストレス肌荒れ” 適切なケア方法を医師が解説

公開日:  /  更新日:

著者:Hint-Pot編集部

教えてくれた人:頴川 博芸

頑固な“ストレス肌荒れ”で「鏡を見たくない」状態に悪化することも(写真はイメージ)【写真:PIXTA】
頑固な“ストレス肌荒れ”で「鏡を見たくない」状態に悪化することも(写真はイメージ)【写真:PIXTA】

 新年度の開始から1か月が過ぎ、ゴールデンウィークも終わりました。仕事や家庭、人間関係などで抱えるストレスの影響で、肌荒れに悩む人もいるかもしれません。ストレスが原因の肌荒れは治りにくく、「鏡を見たくない」ほどの状態に悪化することもあるようです。そこで、ストレスが原因の肌荒れに関する知識とケアについて、浅草橋西口クリニックMoの院長で皮膚科外来を担当している頴川博芸医師に伺いました。

 ◇ ◇ ◇

ストレスでホルモンバランスや自律神経が乱れて肌荒れに

 ストレスによりホルモンバランスや自律神経が乱れると、免疫機能が低下。これにより、皮脂の過剰分泌、バリア機能の低下、炎症などが起こりやすくなり、ニキビや乾燥、赤み、ごわつき、かゆみなどが生じ、いわゆる“ストレス肌荒れ”になります。

 ストレスによる肌荒れが治りにくい理由は、さまざまな要因が存在することにあるでしょう。ストレスが長期間に及ぶと、ホルモンや自律神経の乱れによる、肌のバリア機能とターンオーバーの低下が続きます。そこに慢性的な炎症や不適切なケア、さらに不健康な生活習慣も加わることで治りにくくなり、頑固な“ストレス肌荒れ”が続くことが考えられるのです。

 実感として、ストレスによる肌荒れで当クリニックを受診する方は、30~40代の女性が多い印象があります。仕事や家庭、人間関係など、さまざまな悩みを抱えやすい世代といえるでしょう。アレルギーや乾燥、紫外線などの要因と複合的に絡み合っているケースも多いですが、肌荒れで悩む方の2~3割程度は、ストレスが大きく関与しているといえそうです。

心と肌を同時にケアして自分をいたわる

 心の疲れと肌荒れを同時に感じたら、まずは自分をいたわる時間を作ってみてください。日常生活で取り入れやすい心がけを紹介します。

○心身のセルフケア
・意識的に休憩をする
・軽い運動で体を動かす
・寝る前はデジタルデトックス(スマートフォンやデジタル端末などを見ないようにする)
・心の疲れを誰かに吐露する
・質の良い睡眠
・バランスの良い食事を心がけ、加工食品を控える

○肌のセルフケア
・低刺激な洗顔料で摩擦レスな洗顔
・セラミドやヒアルロン酸配合のスキンケアで保湿
・日焼け止めや日傘などで紫外線対策
・肌への刺激が少ないメイク用品の使用
・こすりすぎず丁寧なメイク落とし
・肌荒れが気になっても触らない

 重要なのは、ストレスへの根本的な対処と、肌への優しいケアを並行して行うことです。ストレスから解放されると、肌は本来の健やかな状態を取り戻しやすくなります。ストレスから解放される努力をしながら、肌のバリア機能をサポートする保湿ケアなどを続けることで、より効果的に肌の状態を改善していくことができるでしょう。

 できる範囲で工夫することをおすすめしますが、肌に痛みや症状の悪化を感じたら、すぐに中止してください。

長期間続く場合は、自己判断せず専門医に相談を

 ただし、長期間にわたって肌荒れが続く、日常生活に支障が出るほど炎症がひどい、または症状を繰り返しているなどの場合は、皮膚科を受診しましょう。長引く肌荒れは、ストレスが軽減されたとしても、肌の状態が元に戻るとも限りません。また、ストレスが肌荒れの原因でない可能性もあります。

 一般的に、クリニックでは外用薬や内服薬の処方、場合により光線療法などが行われます。治療期間は、症状により数週間から数か月以上とさまざま。生活習慣の改善も重要です。

 これから日差しが強くなり、紫外線や汗など、肌にとって過酷な季節になります。心にも肌にも、できるだけ負担をかけることなく、健やかに過ごしたいですね。

(Hint-Pot編集部)

頴川 博芸(えがわ・ひろき)

浅草橋西口クリニックMo院長。総合内科や救急などで培った経験を生かし、内科だけでなく、泌尿器科や皮膚科を含む総合的な診療を行う。日本専門医機構外科専門医、日本温泉気候物理医学会温泉療法医、日本医師会認定産業医。順天堂大学医学部附属順天堂医院食道・胃外科非常勤助手。静岡県出身。趣味は旅行。