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英デザイン界の名門・コンラン家の末裔が奈良の山村に移住 古民家を再生して描く“持続可能な未来”とは
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“持続可能な田舎暮らし”が最終的なゴール

人口1250人ほどの東吉野村。けっして多くない村民たちとすっかり顔なじみとなったフィリックスさんは、移住後、この地域が吉野ヒノキや吉野スギといった高品質な木材の産地であることを知りました。
現在、吉野ヒノキや吉野スギを使ったビジネスに取り組んでいます。これらの木は家具にも使えますが、やややわらかく、家具材として硬さに欠けるのだそう。そこで、特別な方法で木を乾燥させる技術を考案し、床材として使える製品を開発。また、通常とは異なる方向で木を切って使うことで、年輪そのものを“デザイン”として生かしています。見た目も美しく、強度にも優れ、太い木に限らず小さな木も効率良く、無駄なく使えるようにしました。
「この製品を東吉野で製造して地元の人を雇用し、林業を続ける仕組みを作り、地域経済に貢献しています。こうした田舎を、ただの観光地として扱ってはいけません。田舎がこれからも生き続けるためには、きちんと機能する仕組みが必要なんです」
この木のタイルは、現在開催中の大阪・関西万博の奈良パビリオン内で、5月下旬に展示される予定です。

自らが住むリノベーションした古民家は、「古い物件でも、ここまで美しく再生できる」という、あくまで“試作品”にすぎないのだそうです。地域で仕事が生み出せるような事業を作り、地域の人を雇用し、自然と調和しながら事業を育てていく――“持続可能な田舎暮らし”こそが、フィリックスさんの目指す最終的な目標だといいます。
「実現までは長い道のりですが、少しずつ、いろいろな側面から取り組んでいます」
(Hint-Pot編集部)