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習い事を「やめる」「続ける」判断はどうしたらいいのか 子どもの専門家が解説
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教えてくれた人:鎌田 怜那

新学期がひと段落したこの時期、学校と習い事の両立に悩む保護者が増えてきます。授業時間や宿題の増加で、これまでのバランスが崩れてしまう子どももいるためです。そこで、子育てに関するカウンセリングや講演などを行う一般社団法人マミリアの代表で、臨床心理士・公認心理師の鎌田怜那さんに、習い事の辞めどきや継続の見極めについてお伺いしました。
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子どもの状況を理解することが大事に
子どもの年齢が上がると、学校の授業や宿題の増加に伴って、習い事と日常生活のバランスが崩れてしまいがちです。一日のスケジュールに合わなくなって、これまで楽しく続けていた習い事が負担になることがあります。
学校と習い事のちょうどいいバランスは、子どもによって異なります。まずは我が子の様子をよく見て、今のペースが合っているかを見極めることが大事です。
学校生活を終えても気力や体力がある子どもにとって、放課後の習い事は苦ではないでしょう。学校以外の友達ができ、複数のコミュニティや居場所を持てるのはいいことです。また、放課後にひとりで過ごす時間が長く、寂しさを持て余している子どもにとっても、習い事は心のよりどころになります。
しかし、最近の子どもの傾向として、学校が終わると疲れている子どもは少なくない印象です。登下校による身体的な疲労や、人間関係による精神的な疲労、次々といろいろな課題をこなさなければならないことによる焦りや気疲れなど、思いのほか子どもたちは疲れ切っていると感じます。そのような子どもにとって、習い事は重く感じられるかもしれません。
子どもの心身の健康を考える3つのチェックポイント
保護者が「両立に悩んでいるかな」と感じたときに、子どもの心身の健康を考えるためのチェックポイントが3つあります。
・家庭環境
・学習面
・人間関係
これら3つのうち、どこかに問題があると、子どもの心身に揺らぎが生じます。このバランスの上に学校生活があることを理解しましょう。状況により、習い事が大事な場所になる子もいれば、負担になる子もいます。子どもが抱える悩ましい状況の背景が「学校か習い事か」というシンプルな問題ではないことを、まず理解いただければと思います。
また、悩みがあるときは行動に表れることも。子どもによって異なるので一概には言えませんが、一般的なサインの出し方は大きく2つのタイプに分かれます。
1. サインを行動に出すタイプ
2. サインを醸し出すタイプ
1の行動に出すタイプの場合、学校で落ち着きがない、友人とのトラブルが続く、先生に挑戦的など、あからさまにトラブルが頻発するようになります。始まりは些細なことです。「注意するまでもないかな?」ということでも、続くようであれば、本人とゆっくり話す時間を作ることをおすすめします。
子どもの変化に気づいたら、その日付と内容をメモしておきましょう。園や学校、習い事の先生と情報を共有しやすく、子どもの引っかかりポイントにも気づきやすくなります。
2の醸し出すタイプの場合は、体調不良や気分の落ち込みのような様子が見られます。「様子を見よう」と見守り期間が長くなると、登園・登校渋りや激しいかんしゃくを起こすようになります。また、いじめを受けていることが連想されるような話を、家でするようになります。そのような事実がない場合は、本人がかなりストレス状況に置かれているサインのひとつです。
深刻化する前に元気がない様子が見られたら、本人とゆっくり過ごす時間を作ることをおすすめします。一緒にお散歩したり、スイーツを食べに行ったりするなど、まずは「心ほぐし」からスタートしてみるといいでしょう。