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外免切替の問題点を利用者明かす 「ザル状態」の試験 ドライバーの技量に差「はるかに運転技術や知識がない」
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外国で取得した運転免許を日本の免許に切り替える「外免切替」(外国免許切替)が物議を醸しています。外国籍ドライバーの事故が相次ぎ、警察庁は制度の見直しに着手しました。いったい、何が問題なのでしょうか。実際に制度を利用して免許を切り替えた日本人の女性ドライバーに話を聞きました。
◇ ◇ ◇
「すごく簡単だったので…」とあ然
「私は識者でもなんでもないですが、25年前と変わっていない“ザル状態”なんだなーとニュースを見ながら思いました」
25年前に外免切替をしたという女性は、当時を懐かしそうに振り返りつつも、課題を抱えたままの制度が今もなお存続していることに苦笑いを浮かべました。
18日に埼玉県内で小学生4人が車に衝突されて負傷した事故では中国籍の男が、19日に三重県で起きた逆走事故ではペルー国籍の男がいずれも「外免切替」だったことが判明しています。現行の制度では、住民票がなくても、滞在ホテルの住所で免許を取得できるほか、切替時の試験が簡単すぎると指摘されて、議論を呼んでいました。
女性はアメリカオハイオ州で免許を取得。帰国後、東京・府中の運転免許試験場で切替作業を行いました。
拍子抜けしたのは、最初の学科試験でした。
「当時の試験問題は今と変わっておらず、10問○×でした。すごく簡単だったので、こんなんでいいんだって思いました」
一方、二次試験の技能試験は別日に行われました。
「1台のセダンに学科試験を通過した3人が同乗。プラス試験官が1人。交代で乗って1周ずつしていく」というもので、S字カーブやクランク(屈折)など、教習所ではおなじみのポイントがコースに設定されていました。
女性はここで一度試験に落ちてしまったそう。
「停止線で止まったんですけど、タイヤが停止線の上で止まればいいと思っていました。結構シビア」
改めて別日に実施された再試験をクリアして、免許切替となりました。
技能試験はトータル5分ほど。かかった費用はわずか1万5000円ほどでした。
女性が気になったのが、外免切替を受ける外国人ドライバーの技量に差があったことです。
再試験を含む2回の実技で、同乗3人のうち合格したのはそれぞれ1人だけ。「明らかにスピード出し過ぎだったり、クランクで縁石に乗り上げたり、止まっている車を追い越す際にウインカーを出さない外国人もいました」。低い合格率にかえって不安をかき立てられたといいます。
「勝手に公道運転してスキルを身に着けろ」
母国で免許を取得しているといっても、その内容はさまざまです。
例えば、アメリカで免許を取得する場合、日本のように合宿で教習所に何日も通って、という制度ではありません。
「オハイオ州では最初に筆記テストがあって合格するといきなり仮免をもらえます。仮免があると、免許を持っている人を助手席に乗せていれば公道を走れる。それで練習して、次の実地試験に受かると免許をもらえる。費用も私が取った時は20ドルで取れちゃう。日本と違ってずっと教習所で試験官が手取り足取り教えてくれるわけではなく、勝手に公道運転してスキルを身に着けろ、みたいな感じ」
教習が個人任せの部分が強く、一律に一定のレベルにあるかどうかは疑義が生じます。また、過去には地域によって免許は“購入”できた、なんて話も……。それで日本で簡単に切替できるとしたら複雑ですよね。道路標識や左車線走行など、一部の国のドライバーにとっては不慣れな習慣もあります。
「やっぱり最初の○×クイズが非常に簡単なので、それでいいのかなって感じですよね。あとは日本語の標識を読み取れるぐらいのテストもあってもいいかなと」
日本は都心部で交通量があり、また道幅も狭いところが多いです。外免切替をして25年たっても、まだ自信は持てていないと話します。
「自分が外免切替だから、なるべく人は乗せないようにしている。そもそも運転しないようにしています。日本で免許を取っている人に比べて、はるかに運転技術や知識がないのが分かっているので。特に都内では怖すぎるので運転していないです」と締めくくりました。
(Hint-Pot編集部/クロスメディアチーム)