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「不倫をしているのは嫁のほう」 親族中に嘘をつかれた女性 泥沼離婚した夫と再構築の道はあった? 夫婦カウンセラーがアドバイス

公開日:  /  更新日:

著者:和栗 恵

教えてくれた人:夫婦カウンセラー・原嶋 めぐみ

夫が不倫…身近に見方がおらず悩む女性(写真はイメージ)【写真:PIXTA】
夫が不倫…身近に見方がおらず悩む女性(写真はイメージ)【写真:PIXTA】

 親族の仲が良いことは素敵なことですが、いきすぎると困りものです。結婚から15年近くが経った頃、夫に不倫された女性。同居の姑や、近距離に住む義姉は夫に味方し、完全に孤立してしまったといいます。女性はどうすればよかったのでしょうか。夫婦カウンセラーのアドバイスとともにお届けします。

 ◇ ◇ ◇

男らしいと思った夫は、姑と義姉の言いなりだった

 坂崎愛佳さん(仮名・50代)は20代の頃、仕事で知り合った男性から猛アプローチを受けて結婚しました。愛佳さんは、色白で儚げなタイプ。おとなしい性格で、当時は夫に逆らうなんて考えたこともなかったと振り返ります。

「夫は本家の長男だっため、実家を二世帯に建て替え、結婚と同時に同居がスタートしました。隣近所はほぼ夫の親族で、ちょっと庭先に出て植木に水をまくときすら、見苦しくないようきちんとした服に着替えるように、姑からキツく言われたこともあります。親族関係が本当に密で、結婚当初は驚きました」

 しかし、とくにやっかいだったのは、近距離に住む義姉の存在でした。義姉は夫の実家から車で5分とかからない場所に住んでいて、頻繁に実家に入り浸っていたそう。愛佳さん夫婦の部屋にも、我が物顔でよく上がり込んできたといいます。

「それでも、私は無職でしたから一人では暮らしていけませんし、離婚なんて考えもしませんでした。2人の息子を授かり、跡取りができたと義父母も親戚も大喜び。少しは姑や義姉の干渉もマシになるかもしれない、なんて思っていたのですが、息子ができたことでむしろ悪化し、ちょっとしたことでも口を出されるようになったんです」

夫が不倫相手と同棲するように

 さらに困ったことに、長男が中学校に上がった頃に夫が不倫。家に帰ってこなくなり、不倫相手の家で同棲生活を始めました。愛佳さんは息子たちのためにも、波風を立てないようそれまで通りの暮らしを続けていたといいます。

 ところが、夫は堂々と不倫を続け、その事実は親族中に知れ渡ってしまいました。そしてついには、不倫の噂が息子たちの耳にも入ってしまったのです。不倫が公になっても、夫は反省するどころか、不倫相手を姑や義姉に紹介して味方につけ、家族ぐるみで愛佳さんを家から追い出そうとし始めました。

 夫は家に戻らないままなのに、姑や義姉からは「出ていけ」と責められる毎日。愛佳さんはそれでも必死に耐えていましたが、息子たちから「離婚して家を出てほしい」とお願いされて、目が覚めたような思いがしたと話します。

「ひどい話ですが、不倫をしているのは嫁のほうだと、義姉が親戚中に噂を流していたこともあります。毎日、責められ続けて、感覚がマヒしてしまっていたのかもしれません」

 その後、婚姻費用を求めたところ夫が無職になるなど、さまざまな嫌がらせを受けながらも泥沼の調停を経て、どうにか離婚が成立したという愛佳さん。無事に親権も取れ、夫の親族の目を気にすることもなく、家族3人で幸せに暮らせるようになりました。

「当時、子どもたちが毅然とした態度で私に味方してくれたことに、感謝しています」

関係の修復は難しかった

 今では子どもたちも立派に成人し、穏やかで憂いのない日々を過ごしているという愛佳さん。では、彼女のように夫の家族に振り回される事態を避けるためには、結婚の際にどんな点に気を付ければよいのでしょうか。夫婦カウンセラーの原嶋恵さんにアドバイスを伺いました。

「まず結婚前に、姑や義姉(または義妹)との関係性や性格をよく知っておくことが大切です。母と娘の絆は想像以上に強く、油断してはいけません。なかには、『嫁』という存在を“敵”とみなし、結束して攻撃的になる母娘もいるのです」

 また、当初の愛佳さんは夫の問題行動に目をつむり、結婚生活を続けたいと考えていたようですが、夫婦関係を修復することはできたのでしょうか。

「夫は家に帰らず、むしろ行動はどんどんエスカレート。話し合いの場に応じる気もまったくありませんでした。さらに、愛佳さんが正当な要求をした途端、嫌がらせをするなど、夫にはパートナーとしての尊重が欠けていたようです。こうした場合、どれだけ歩み寄ろうとしても、関係の修復は難しかったと思います」

 愛佳さんが離婚を決意したことで、自分の人生を取り戻す強さを持てたのですから、それは結果として正解だったと言えるでしょう。元夫やその家族のことはきっぱり忘れて、これからも息子さんたちと温かい家庭を築いていってくださいね。

(和栗 恵)