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からだ・美容

がんと診断されたら最初にやるべきことは 37歳で乳がんを経験した先輩サバイバーのアドバイス

公開日:  /  更新日:

著者:Hint-Pot編集部

教えてくれた人:桜井 なおみ

即断即決せず、周囲とコミュニケーションを

 現在のがん治療は、入院よりも外来通院が中心で、仕事と両立できるものも増えてきました。ただ、治療中は薬の副作用などの影響で体が思うように動かなかったり、気持ちが落ち込んでしまったりすることもあります。脱毛やむくみといった容姿の変化から、出社にためらいを感じることもあるかもしれません。

 人によっては、治療が終わっても、手術の影響や抗がん剤の副作用が残ってしまうことがあります。手足のしびれが残ってパソコンを使った業務ができない、以前のように体力も集中力も続かないといった悩みを、多くのがんサバイバーの方が抱えているのも事実です。

 そのようなときは、どんな働き方なら続けられそうかを考えてみましょう。できないことではなく、できることを探し、広げていきます。今まで築いたキャリアを手放す必要はありません。

 私自身、37歳のときに乳がんが見つかり、治療のために約8か月間休職した経験があります。職場に復帰しても、治療と仕事の両立が難しくなり、転職もしました。当時のことを振り返ると、仕事を頑張りたいけれど周囲に迷惑をかけたくないとの思いから「あれができません」「これも無理です」と会社の方に言いすぎていました。今となっては、「できること」を上手に伝えることができれば、乗り越えられたこともあったかもしれません。

 職場の同僚ががんに罹患したとき、どう接していいか戸惑う方もいるかもしれませんが、できれば普段通りに接してもらえるとありがたいです。がんと聞いた瞬間に、その人への接し方が変わって、距離感ができてしまうこともあるのです。また、「頑張れよ」と言っても状況は変わりません。その人が置かれた状況に合わせて寄り添い、よく話を聞いてほしいと思います。

 がんに罹患した方に伝えたいのは、「即断即決しない」こと、そして「周囲とよくコミュニケーションを取る」ことです。つらい状態では、悪い選択を選んでしまうこともあります。活用できる制度を使い、あなたらしい、新しい自分の働き方を考えてほしいと思います。

(Hint-Pot編集部)

桜井 なおみ(さくらい・なおみ)

一般社団法人CSRプロジェクト代表理事。キャンサーソリューションズ代表取締役社長。大学で都市計画を学んだのち、コンサルティング会社でまちづくりや環境教育などを担当。37歳でがん罹患後は、がん患者・家族の支援活動を開始。技術士(建設部門)、社会福祉士、精神保健福祉士、産業カウンセラー。