Hint-Pot | ヒントポット ―くらしがきらめく ヒントのギフト―

海外ニュース

「日本人の女の子大好き」と公言する“ジャパ専”も…イギリスでのマッチングアプリ事情 日本人女性が驚いたこととは

公開日:  /  更新日:

著者:Moyo

日本とは少し異なる海外のプロフィール画面

 いろんなアプリの違いをおおまかに知ったところで、自分が使いやすそうだと思ったものをセレクト。うまくいかなかったら違うものに移ればいいですし、とりあえずやってみるのが大事だと行動に移しました。

 ですが、実際に使い始めてみると、プロフィールを完成させるだけでもひと苦労でした。日常会話やビジネス会話は少しできるようになっていましたが、まったく文脈の違う恋愛目的の“出会い”の場面では、英語で何を書けばいいのか全然わかりません。スタート地点でいきなり立ち止まってしまい、愕然としました。ネイティブ並みに遊び心たっぷりな表現で、おしゃれに書きたいと思っても、もちろん難しいのが現実です。

 このとき、ふと頭に浮かんだのが、イギリスでの就職活動で苦戦した英文でのCV(英文履歴書)作り。最初は完璧でなくていいから、人となりや自分が大事にしている部分などがとりあえず伝わるものにしようと割り切って、筆を進めました。当時は、現地の人がどのようなことを書いているのかブログを参考にしながら、スタンダードで自然な英語表現を調べながら記入したものです。

 さらに、イギリスのデーティングアプリと、日本のマッチングアプリの大きな違いにも驚きました。それは、質問項目の細かさです。職歴や学歴、どんな関係を求めているか、結婚歴、子どもが欲しいかなど、日本のマッチングアプリでもよくある項目に加え、政治的なポリシーや宗教、言語、出身地、マリファナやドラッグの使用有無など、かなり根掘り葉掘り聞かれます。

 もちろん、ほとんどのアプリが、答えたくないものには答えなくていい仕様なのですが、これだけの質問項目がしっかりあるのに答えていないのは、逆に少し不審ですよね。答えていないのは、言いたくない、あるいはやましいことがあるのでは? という目で相手を見てしまいます。

 そして、これはあとからわかることですが、プロフィールをあえてぼかしている人は、知り合いにバレたくないと思っているケースが多いです。そのため、自分がこれはアウトだと思うポイントがあれば、遠慮せずにそのことを相手に直接聞いたほうが早いと思います。

気になるアプローチ方法

 さて、いろいろと試行錯誤を重ねて、ついにプロフィールをパブリッシュ(公開)します。

 これは日本のマッチングアプリでも同じかと思いますが、新しいメンバーは一定期間ピックアップ、フィーチャーされるのか、ものすごい数の“いいね”が届きます。正直、イギリスのスタンダードとはまるで違う私にこれだけ来るのなら、ローカルの人たちはどれだけ人気なんだ……と思ったのを今でも覚えています。

 そして、さらに驚いたのが、届くメッセージの温度差です。内容の薄いメッセージと、濃いメッセージの差がとても激しく、「Hello, how are you?」などの短文が届く一方で、一気に500~1000文字くらいの長文メッセージが届くこともありました。なかには、写真とその限られた自己紹介を見ただけで、よくここまでポエティックな内容を書けるなと感心するものも。

 これは、日本でもそうなのではないでしょうか。「こんにちは、○○です。よろしくお願いします!」のあいさつだけで、次のメッセージにどうつなげたらいいのか悩むのは“あるある”です。そうかと思えば、いきなり生い立ちや相手の理想像まで熱く語るプレゼン資料のようなもの、相手のことを褒めちぎる作文のようなメッセージも。その内容は、本当にさまざまですよね。

 また、イギリスでは“ジャパ専”といわれるような、「日本人の女の子大好き」と公言するタイプもいました。このあからさまなメッセージを送って、どれだけの女性が反応するのだろうと疑問に思います。

 こうしたメッセージの数々に圧倒され、「この先も続けられるかな、大丈夫かな」と不安になることもありました。しかし、当時の日常で、英語は仕事や日常生活で使うだけで、同僚と会話するにしても時間や場面が限られていたため、これは現地を知るいい勉強になるかもと考え直すように。マッチングアプリ=出会いではなく、現地の文化に触れ、英語の勉強のためになるいい機会だと、ポジティブに向き合いました。

 実際にいろいろな人と話す機会が増え、ボキャブラリーや言い回し、表現、相槌の方法など、仕事だけでは絶対に吸収できなかったものが習得できたことには、今でも感謝しています。また、普段の仕事だけでは出会えなかった職種の人たちとの会話、ローカルの人のためになる現地情報や、私のような移民同士で海外生活大変“あるある”を話せることも、一種の楽しみでした。

 もちろん、なかには変な人やしつこい人もいます。日本でも海外でも、少しでも怪しいなと思ったら早く切り上げることが大切です。

(Moyo)

Moyo(モヨ)

新卒採用で日本の出版社に入社するも、心身ともに疲弊し20代後半にノープランで退職。それまでの海外経験は数度の旅行程度だったが、イギリスへ語学留学ののち移住した。そのまま、あれよあれよと7年の月日が経ち、現在はフランスに在住。ライター、エディター、翻訳家、コンサルタントとして活動している。最近ようやくチーズのおいしさに少し目覚める。