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結婚祝いにグラスを贈るのはマナー違反? 昔から伝わる贈り物のタブーとは

公開日:  /  更新日:

著者:鶴丸 和子

挙式が多い時期は、お祝いの品を贈る機会も増える(写真はイメージ)【写真:写真AC】
挙式が多い時期は、お祝いの品を贈る機会も増える(写真はイメージ)【写真:写真AC】

 6月に結婚すると幸せになれる――そんな「ジューンブライド(June bride)」の言い伝えから、この時期は、結婚した親戚や友人などにお祝いの品を贈る機会がある方もいるでしょう。ただし、贈る品物によっては、「マナー違反」と受け取られてしまうことも。おめでたいムードに水を差すと、昔からいわれる贈り物のタブーについて、紹介しましょう。

 ◇ ◇ ◇

ネガティブな意味を連想させるものはNG?

 結婚祝いをはじめとする贈り物には、昔から「縁起が悪い」とされてきた品物があります。主に、その品物の特徴や用途から「割れる」「消える」「切れる」といった、ネガティブな意味を連想させるものです。お祝いムードに水を差すとして、お祝いごとには適切ではないと考えられてきました。

 現代では、贈り物のタブーをあまり気にしない風潮にはありますが、贈り先の相手や家族によっては「マナー違反」と受け取られてしまうこともあるかもしれません。どんな贈り物がどのような理由で避けられてきたのか、事前に意識しておくと安心です。

主に避けられてきた「割れる」「消える」「切れる」もの

○割れるもの
 食器やグラスなどの「割れもの」は、仲が「割れる」や「壊れる」、夫婦関係が「バラバラになる」などを連想させ、結婚祝いには不適切とされてきました。ただし、グラスや食器は、新生活には必須アイテム。近年では、ペアのワイングラスやカップ、プレートセットなどを結婚祝いに贈ることは一般的になってきています。

 割れものに対する解釈も、不吉という考え方でなく、割れることで「増える」というポジティブな解釈も広まりつつあります。もしグラスや食器などを贈る場合は、こうした背景や意味の変化を伝えることで、より気持ちのこもった贈り物になるでしょう。

○消えるもの
 食べたり飲んだり、使ったりしてなくなってしまう消耗品は「消えもの」と呼ばれ、結婚祝いには不向きとされてきました。一時的で、喜びや幸せが「消える」ことを連想させるためです。たとえばタオルや洗剤などの日用品、コーヒーや紅茶などの飲み物、グルメやお菓子などの食品を贈ることは、避けられてきました。

 しかし近年では、消えものは、気軽に受け取れる実用的なギフトとして、選ぶケースも増えています。友人や仲の良い同僚など、親しい間柄の方へ贈るなら、とくに問題はないといえるでしょう。普段自分では買わないような高級感のあるものを贈ると、お祝いにふさわしい特別感があり、使う楽しみも感じてもらえます。

○切れるもの
 ハサミや包丁などの刃物類は、「縁を切る」「関係が断ち切れる」といった意味を連想させることから、結婚祝いにはタブーとされました。実用的なアイテムですが、贈り物では「縁起が悪い」と受け取られる可能性があるので、リクエストされていない限りは避けたほうが無難と考えられています。

 一方で、刃物類に「未来を切り開く」といったポジティブな意味合いを込めて、デザイン性の高い包丁やキッチンバサミなどを贈るケースもあります。その際、「ご縁がある」にかけて五円玉を一緒に添えたり、受け取った相手が送り主に五円を払って贈り物ではなく買ったものに変えたりする方法もあるようです。いずれにしても刃物類を贈る際は、誤解がないように、ひと言添えると良いでしょう。

贈る相手の価値観をくみながら気持ちも届けよう

 このほか、語呂合わせなどから「櫛(くし)」は「苦」や「死」を連想させるとか、ハンカチは漢字で「手巾(てぎれ)」になるなど、祝いごとの贈り物として避けられてきたものもあります。

 結婚のお祝いの品選びに関して、こうした昔ながらのしきたりを気にしない人が増えているのかもしれません。ただし、今も昔も変わらず大切なのは、贈る相手の価値観をくみながら、心から祝福する気持ちを品物と一緒に届けることでしょう。

(鶴丸 和子)