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高温多湿のシンガポール 長期間エアコンを止めているとどうなる? 日本人女性が衝撃を受けたこととは

公開日:  /  更新日:

著者:荒木 優里

シンガポールのコンドミニアム。高温多湿な環境の中、各家庭ではさまざまな工夫が(写真はイメージ)【写真:PIXTA】
シンガポールのコンドミニアム。高温多湿な環境の中、各家庭ではさまざまな工夫が(写真はイメージ)【写真:PIXTA】

 日本の夏は高温多湿の気候が特徴で、エアコンが欠かせません。ただ、季節が変わればエアコンの出番はなくなります。日本のような四季がないシンガポールでは一年中、エアコンが手放せないそうです。夫の仕事でアメリカからシンガポールへ移住した、フリーアナウンサーの荒木優里さん。新たな環境で発見した、日本との違いを綴ります。今回は、高温多湿の環境で快適に過ごすための工夫についてです。

 ◇ ◇ ◇

年中エアコンが稼働 除湿機の併用も

 シンガポールは常夏の国。一年中続く30度前後の気温と、体にまとわりつくような湿気の中での暮らしは、慣れるまではなかなかの試練です。「南国リゾート地らしくていいじゃん!」と言われることもありますが、実際に生活してみると、快適さを保つためにさまざまな工夫や対策が必要だと実感します。

 私が住んでいるコンドミニアムの部屋には、エアコンが5台設置されています。それらを、時間帯や部屋の使用状況に応じて順番につけながら、24時間毎日稼働させています。理由は単純で、エアコンを切った途端、室内がムワッと蒸し暑くなり不快だからです。

 そして、何より怖いのが湿気。長期間エアコンを止めると、クローゼットの洋服や靴、とくに革製品などにカビが生えてしまうおそれもあります。

 旅行や一時帰国などで部屋を空けるときも、エアコンをつけっぱなしにしている人たちも多いようです。実際に、「1週間ほどの不在でエアコンを消していたら、スーツや革のカバンがカビてしまった……」といった失敗談を周りの友人たちから聞いたのも、1度や2度ではありません。

 我が家では除湿器を併用しています。これももはや、快適さより、部屋と物を守るための防衛手段といった感覚かもしれません。

集合住宅や商業施設などでは定期的に害虫駆除を実施

 そして、エアコン以上に気になるのが虫問題です。部屋の外ではありますが、ゴキブリやアリ、ヤモリはよく目にします。中に入ってこないよう、玄関ドアの下の隙間をふさいだり、窓際に殺虫グッズを置いたりなど、試行錯誤の日々。また、当たり前ですが、食べたものはすぐに片づけ、生ゴミもすぐに出すなど徹底しています。

 また、多くの集合住宅や商業施設では、ペストコントロール(害虫駆除)のため、定期的に大量の殺虫剤がまかれています。人体に影響がない範囲で、害虫の活動を制御するものです。高温多湿のシンガポールで、清潔で安全な環境を保つために必要不可欠とされています。

 最近、私の住むコンドミニアムでもペストコントロールが行われました。案内を知らせる張り紙には、「薬剤がまかれる時間は、自宅のダストシュート(ゴミ投入口)の扉から虫が入ってこないようにテープでフタをしておくように」といった注意書きが。それに従い、養生テープを貼ってしっかり対策したら、怖い思いをせずに済みました。

養生テープを貼ったダストシュート【写真:荒木優里】
養生テープを貼ったダストシュート【写真:荒木優里】

 ペストコントロールは公共エリアでも行われています。とくに緑の多い地域では、都市部よりも頻繁に実施されているそうです。殺虫剤のスモークが立ち込める場所を避けて通りつつも、快適に過ごすためには欠かせないことだよなあと感じています。

 旅行では感じられず、住んでみて初めてわかった大変さですが、少し慣れてくると「これはこれでシンガポールらしいな」とも思えるようになってきました。日本にはない暮らし方や、工夫の楽しさを感じています。

(荒木 優里)

荒木 優里(あらき・ゆり)

米ニューヨーク州在住のフリーアナウンサー。慶應義塾大学を卒業後、KSB瀬戸内海放送、テレビ埼玉で局アナとして勤務し、報道番組のキャスターや情報番組の中継リポーターなどを担当。2022年夏に渡米し、現在は初めて体験する海外生活での奮闘ぶりを日々発信中。