どうぶつ
「大好きな“妻”ねこと離したくなかった」 闘病中の愛猫を支える“家族”の愛に涙…懸命に生きる姿に感動の声
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最期の2か月間は、点滴中もぴったり寄り添ったしずくちゃん

そんな幸せな日々に、少しずつ変化が訪れたのは、はちべえくんの体調に揺らぎが出始めた頃からでした。通院や検査を重ねるなかで、甲状腺機能亢進症などの病気が見つかります。
飼い主さんはこの頃から、はちべえくんの姿をたくさん動画や写真に残すようになりました。病気と闘うかっこいい姿も、ただ歩いているだけの姿も……。「ただ愛おしくて。いつかお別れがきたときに、あのときはあんな気持ちだった、あんな様子だったと、いつまでも振り返れるように。はちの歴史だから全部記録しなきゃって」と思ったと飼い主さんは振り返ります。
腎臓病も併発し、亡くなる10か月前からは、飼い主さんの手で毎日の皮下点滴が始まりました。1回の負担を減らすために、1日に2回、3回と分けて行う日もあったといいます。それでも、とてもお利口なはちべえくんは嫌がることなく、むしろ気持ち良さそうに受けていたそうです。
そうして頑張るはちべえくんのそばには、いつもしずくちゃんの姿がありました。とくに最期の2か月間は、点滴中もすぐそばでぴったり寄り添い、まるで「頑張って」と励ますかのように、体を舐めてあげていたといいます。
若い頃のように自分で毛繕いをしなくなったはちべえくんに代わって、しずくちゃんは頭からシッポの先まで、毎日丁寧に毛を整えてあげていました。点滴が終わると、ふたりはそのままくっついて眠ることも多かったそうです。
「きっとこれが答えだ…」はちべえくんの心を守る決断

病気が進行するにつれ、飼い主さんにはさまざまな悩みが生まれました。破歯細胞性吸収病巣の悪化によって歯が溶けてしまい、はちべえくんは食事をとるのもつらそうな様子に。飼い主さんはシリンジでペーストを与えたり、薬を飲ませたりしながら、少しでも穏やかな時間を一緒に過ごせるよう心を尽くしました。
「はちはとっても賢かったので、『少しでも食べなきゃ死んじゃうよ……。お腹がいっぱいになったら気持ち良く眠れるでしょ? このお薬ははちの体のお守りだよ』と伝えると、『ぜんぶわかってるよ、しょうがにゃいね、もうちょっとそばにいてやるにゃあ』って言うみたいに、カプセルもツルンと上手に飲み込んでくれました」
悩みは食事のことだけではありません。飼い主さんは、より効果が期待できる静脈からの点滴をはちべえくんに受けさせるべきかも迷っていました。けれど、そのためには入院や通院が必要で、長く寄り添ってきたしずくちゃんとも離れ離れになってしまいます。
「ずっとこの光景を見ていたいな、とびきりの愛に包まれているよね、幸せだったよね?」
幸せそうな“ふたり”の姿を見ながら、そう自問自答を繰り返した飼い主さん。そして、最後まで“いつもの場所”で、“いつものふたり”のまま過ごさせてあげたいと決断します。
「もしこのままお別れになってしまっても、私が守りたかったのは、はちの体だけではなく心だったから。きっとこれが答えだ……」
飼い主さんとしずくちゃんにずっとそばで見守られ、最期の日もいつものように朝ごはんを食べたはちべえくん。最期までおいしいものを食べてほしいと思っていた飼い主さんの願いを叶えるように、ペーストと、大好きなお刺身をほんの少し口にして、静かに旅立っていきました。
