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からだ・美容

汗の臭いとは違う“夏バテ臭”とは? 体が疲れると発生する原因と予防する3つの習慣 専門家が解説

公開日:  /  更新日:

著者:Hint-Pot編集部

教えてくれた人:関根 嘉香

“夏バテ臭”を予防する3つの習慣とは

 日常でできる“夏バテ臭”対策としては、次の3つがあります。

1. 外出するときは、日傘を使用するなど日陰を歩く
 夏の暑い時期に外出すると、強い日差しによって暑熱ストレスを受け、“夏バテ臭”が発生しやすくなります。そのため、緑陰など日陰を歩く、あるいは日傘の使用がおすすめです。“夏バテ臭”の発生を、抑制することができます。女性だけでなく、男性も日傘を使って歩きましょう。

夏季に外出して20分歩行した時の“夏バテ臭”(アンモニア)の増加率【画像:関根嘉香「皮膚ガスのはなし」p107より引用・改変】
夏季に外出して20分歩行した時の“夏バテ臭”(アンモニア)の増加率【画像:関根嘉香「皮膚ガスのはなし」p107より引用・改変】

2. 寝るときは、エアコンをつけるなど睡眠の質を良くする
 就寝前に発生したアンモニアは、夜間に質の良い睡眠を取ると、起床時には減少する傾向があります。逆に睡眠の質が良くないと、起床時に増加してしまうことがあるのです。暑い部屋で寝ると、睡眠の質が悪くなりかねません。エアコンで室温を24度前後(23~26度)に調整し、上質な睡眠を心がけましょう。

夜間睡眠前後の“夏バテ臭”(アンモニア)の変化に睡眠の質が関連【画像:大坂ら,2024年室内環境学会学術大会講演資料より引用・改変】
夜間睡眠前後の“夏バテ臭”(アンモニア)の変化に睡眠の質が関連【画像:大坂ら,2024年室内環境学会学術大会講演資料より引用・改変】

3. ビフィズス菌入りの食品を食べるなど腸内環境を整える
 先にも少し触れましたが、アンモニアの発生には、腸内環境も関係しています。それは、腸内の悪玉菌が、アンモニアを作り出してしまうからです。善玉菌であるビフィズス菌は、乳酸のほかにも短鎖脂肪酸という酸を作り出し、アルカリ性のアンモニアを中和してくれます。アンモニアが腸内から血流に移りにくくなり、皮膚からの発生量が低減するのです。ビフィズス菌入りのヨーグルトや、ビフィズス菌を増やしてくれるラクチュロース入りのヨーグルトなどを、食生活に取り入れてみましょう。

ビフィズス菌が増加すると“夏バテ臭”(アンモニア)は減少する傾向に【画像:関根嘉香「皮膚ガスのはなし」p45より引用・改変】
ビフィズス菌が増加すると“夏バテ臭”(アンモニア)は減少する傾向に【画像:関根嘉香「皮膚ガスのはなし」p45より引用・改変】

 もしも「自分から“夏バテ臭”がしないか?」と気になったら、足の裏をチェックしてみてください。アンモニアは足の裏から多く発生するため、お風呂で足の裏を洗ったあとも、まだツーンとする臭いがあるようなら、“夏バテ臭”の可能性があります。

 そのような場合は、上記3つの習慣を心がけ、お風呂に入ってリラックスし、夏の疲れを癒やしましょう。

(Hint-Pot編集部)

関根 嘉香(せきね・よしか)

慶應義塾大学大学院理工学研究科修了。理学博士。専門分野は「環境と健康の化学」。体のにおいの原因となる“皮膚ガス”の存在を明らかにし、簡単に“皮膚ガス”を測定する方法を開発するなど、“皮膚ガス”研究の第一人者。「室内環境の事典」(朝倉書店刊)、「品質管理の統計学」(オーム社刊)など著書多数。