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「食事に置き換えるダイエット方法」が話題になったことも つい食べすぎてしまいがちなスイカの1日の適正量は? 栄養士に聞いた
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教えてくれた人:和漢 歩実

みずみずしく、すっきりとした甘みがおいしいスイカ。水分が多く、低カロリーといわれますが、たくさん食べても体重に影響はないのでしょうか。栄養士で元家庭科教諭の和漢歩実さんに伺いました。
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スイカのカロリーとは 栄養はある?
スイカは約90%が水分です。そのため、低カロリーと思われやすいのですが、日本食品標準成分表(八訂)増補2023年によると、スイカのエネルギーは可食部100グラムで41キロカロリー。ほかの主なフルーツと同量を比べてみると、イチゴが31キロカロリー、ミカンが49キロカロリー、リンゴが53キロカロリーです。極端に低カロリーとは言い切れませんが、スイカはダイエット中に向くフルーツといえます。
加えて水分が多いので、栄養がないと誤解されやすいのですが、スイカの主成分は果糖やブドウ糖である炭水化物(糖質)です。カリウムが豊富で、体内の余分な塩分や水分の排出を助けてくれるので、蒸し暑い季節の重だるさやむくみにも良いでしょう。このほか、アミノ酸の一種「シトルリン」も多く、血流改善や疲労回復、肌の保湿などが期待されます。
果肉が赤い「赤肉種」のスイカには、βカロテンやリコピンも含まれています。βカロテンは体内で必要時にビタミンAに変わり免疫機能を高め、リコピンは抗酸化作用があり疲労回復にも役立つでしょう。
食べすぎ注意の理由 1日の適量はどのくらい?
カロリーが低く、健康的な栄養や成分が含まれているとはいえ、ついスイカをたくさん食べてしまうと逆効果になります。たとえば、スイカを4分の1カット(可食部750グラム相当)食べたとしたら、カロリーは308キロカロリー。おにぎり2個分、ショートケーキ1個ほどのカロリーになります。
スイカを食事に置き換えるダイエット方法が話題を集めたことがありますが、スイカだけの食生活は栄養が偏り、かえって太りやすくなってしまいます。主成分である果糖やブドウ糖を多く摂取することになり、余分な糖質は脂肪として蓄えられてしまうためです。
また、スイカの食べすぎは水分のとりすぎとなり、体を冷やしてしまいます。消化不良を起こし、腹痛など不調につながることもあるでしょう。スイカは食後のデザートとして適量を食べることをおすすめします。
果物は、1日に200グラムをとるのが理想とされています。200グラムとは、皮や種は除いた可食部のことです。スイカもこの200グラムを目安にしましょう。
Mサイズ(5~6キロ)のスイカであれば、15分の1カットほど。パックに入って果肉部分のみ販売されているカット済みのスイカなら、グラム数が表示されているので、わかりやすいかもしれません。ほかの果物も食べる場合は、合わせて200グラムになるよう、食べすぎに注意して調整しましょう。
おいしく食べるために、冷やし過ぎはNG
スイカは冷やしすぎると甘味が落ちてしまいます。一般的にスイカの甘味を最も感じられる温度は10~15度です。丸ごと購入した場合は、直射日光を避けて風通しの良い涼しい場所へ置きます。冷蔵庫に入れるのは、食べる2~3時間前がおすすめです。
または水で冷やすと適温になるので、大きなボウル(バケツ)にスイカを丸ごと入れてふきんをかぶせ、上から水をかけて冷やすと良いでしょう。
食べ切れない場合は、冷凍保存もできます。ひとくち大くらいにカットした果肉を冷凍保存袋に入れ、密封して冷凍庫へ。シャーベットとしても食べられます。ミキサーを使ってスムージーにしてもおいしいです。
食べすぎには注意して、みずみずしい夏の味を、ほど良く楽しみましょう。
(Hint-Pot編集部)
和漢 歩実(わかん・ゆみ)
栄養士、家庭科教諭、栄養薬膳士。公立高校の教諭として27年間、教壇に立つ。現在はフリーの立場で講師として食品学などを教える。現代栄養と古来の薬膳の知恵を取り入れた健やかな食生活を提唱。食を通して笑顔になる人を増やす活動に力を注いでいる。
ブログ:和漢歩実のおいしい栄養塾