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スイカに塩はなぜ甘く感じる? レモン汁や黒コショウをかけるメリットも 栄養士が解説

公開日:  /  更新日:

著者:Hint-Pot編集部

教えてくれた人:和漢 歩実

夏においしいスイカ(写真はイメージ)【写真:写真AC】
夏においしいスイカ(写真はイメージ)【写真:写真AC】

 夏を代表する食べ物といえば、スイカです。そのまま食べてもおいしいですが、塩をかけたり、レモン汁や黒コショウをトッピングしたりするとおいしいといった話も聞きます。実際のところ、どんなメリットがあるのでしょうか。7月24日はスイカの日。記念日にちなみ、スイカについて、栄養士で元家庭科教諭の和漢歩実さんに伺いました。

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スイカは90%が水分も、カリウムなど夏に役立つ栄養を含む

 スイカは、全体の約90%が水分ですが、栄養がまったくないということではありません。スイカの持つ栄養としてはまず、体内の余分な水分や塩分を排出することで知られているカリウムが挙げられます。また、血流を促進して老廃物の排出を助けるシトルリンも含むので、暑い季節のむくみが気になる人には役立つでしょう。

 汗を大量にかく夏は、冬と同様に動脈硬化が引き金となる脳梗塞が多いといわれています。スイカには、強力な抗酸化作用で老化防止や動脈硬化などの生活習慣病予防に役立つリコピン、必要時に体内でビタミンAに変わって皮膚や粘膜の健康を維持し免疫機能の向上に貢献するβカロテンも含まれています。暑さにバテぎみの体に、摂取しておきたい栄養成分があるので、積極的に食べたいですね。

 スイカの原産地は、暑い南アフリカの砂漠地帯とされ、古くから水分を補給するために貴重な食べ物だったといわれています。日本にいつ伝わったかについては諸説あり、明確ではありませんが、平安時代には伝来していたものの、本格的に栽培が始まったのは江戸時代後期とみられています。

スイカに塩をかけるメリットとは?

 スイカに、塩を振って食べる人もいるでしょう。スイカの甘みがいっそう引き立つといわれていますが、味の対比効果が理由です。

 塩味を加えることで、スイカの甘味を相対的に強く感じるようになります。塩分(ナトリウム)が舌の味覚受容体に作用すると、甘味受容体の感度が高まってスイカの甘味が強調され、より甘く感じられるようになるといわれています。そもそも塩は、浸透圧の作用でスイカの細胞から水分を引き出すので、そのことでより甘くなるとも考えられています。

 メリットでいえば、スイカの豊富なカリウムと塩分のナトリウムが、汗で失われた体内のミネラルバランスを整えます。塩をプラスすることで熱中症対策にも有効だといえるでしょう。ただし塩分の摂りすぎは高血圧や心疾患、脳疾患のリスクを高める可能性があるので塩の量はほどほどに。また塩味がスイカの自然な風味を損ないます。

スイカにレモン汁をかけるメリットとは?

 スイカにレモン汁をつけて食べると、レモンの酸味がスイカの甘みと調和し、爽やかな風味になります。味変として用いると、本来のスイカの味と2つの味が楽しめるでしょう。

 メリットでいえば、レモンを加えることで、抗酸化作用のあるビタミンCが摂取でき、免疫機能の向上や美肌効果が期待できます。また、レモンに含まれるクエン酸が疲労回復や消化を助けてくれるでしょう。

 ただし、レモンの酸味が強すぎると、本来のスイカの甘みを楽しめません。またレモンの酸は歯のエナメル質を弱くする可能性があるため、過剰摂取には注意が必要です。