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無意識のダメ出し夫 価値観の違いはどう伝えれば良い? 夫婦カウンセラーがアドバイス

公開日:  /  更新日:

著者:和栗 恵

教えてくれた人:夫婦カウンセラー・原嶋 めぐみ

冷やしトマトがきっかけで、夫が無意識に実家と比較してくることにうんざり…(写真はイメージ)【写真:PIXTA】
冷やしトマトがきっかけで、夫が無意識に実家と比較してくることにうんざり…(写真はイメージ)【写真:PIXTA】

 結婚生活を送るなかで、パートナーの些細な言動が次第に心の中に積もり、気づけば大きなわだかまりに変わっていることがあります。夫の無意識な言動に傷つけられているという新婚女性。どのように対応するのが正解なのでしょうか。夫婦カウンセラーの見解とは。

 ◇ ◇ ◇

何でも義母が基準の夫

 結婚して1年が経つ神奈川県在住の高田三奈さん(仮名・30代)。共働きのため、家事は分担制で行っていますが、夫は結婚するまで実家で暮らしていたため、家事が得意ではないそうです。それでも、三奈さんは根気よく効率的な家事の方法を教えたり、不足している部分をサポートしたりしています。

 そんな新生活を送る中で、三奈さんにはどうしても解せないことが出てきました。例えば、冷やしトマトを食卓に並べたときのこと。三奈さんの実家では皮ごとうす切りにするのが定番でしたが、夫の実家では必ず湯むきされていたそうです。夫は「皮が口に残る」と不満げで、湯むきをしてほしいとお願いしてきました。

 そこで三奈さんが「毎回は大変だから、自分で覚えてやって」と言うと、夫は少し落ち込んだ様子で、「僕には難しいな」とボソリとつぶやいたそうです。それだけでなく、作り置きのおかずを出すと、夫は「お母さんはいつも熱々の作りたてのおかずを出してくれた」など、実家と比べるようなことをなにげなく言うことが続いていました。

 三奈さんは料理が嫌いではないため、炊事をほぼ担当する形になっています。それに、夫が家事初心者であるため、家事は分担制といっても、実際には三奈さんへの負担がかなり大きい状態です。それにもかかわらず、生活費は完全折半で、夫が無意識に母親のやり方を引き合いに出してくることに、だんだんとイライラを感じるようになりました。

「義母さんは確かに家事が上手な人かもしれません。でも、共働きの私と比較されても困ります。夫は悪気なく言っているのですが、自分の家事スキルも鑑みずに、なぜこんなにダメ出しされているんだろう? とだんだん、つらくなってきてしまいました」

夫に「NO」を突き付ける勇気も必要

「『チリも積もれば山となる』というように、心にわだかまりが溜まっていきます。できるだけ早く『そういうことを二度と言わないでほしい』と、きっぱり『嫌なこと』だと伝えたほうが良いでしょう」

 そうアドバイスするのは、夫婦カウンセラーの原嶋さん。

「夫は意識せずに、三奈さんと義母を比べているようですが、こうしたマイクロアグレッション(無意識な思い込みなどで侮辱したり軽視したりするような言動をとること)は、心の奥底にしみついているもので、本人が強く意識しなければ正せるものではありません。逆に言えば、それくらい三奈さんのことを『軽んじている』ということになります」

 結婚して1年ということもあり、なかなか切り出しにくいものかもしれません。しかし、具体的にどういった言動が嫌なのか、それはなぜなのかということを、きちんと話し合いましょう。「無意識の行為だからと言って、人を傷つけて良いことはないうえに、無理に我慢する必要はありません」と原嶋さんはいいます。

「夫に伝える際は、淡々と伝えるのがコツ。感情的になってしまうと本気が伝わりにくいので、淡々と、事実のみを伝えるイメージで話すことをおすすめします」

(和栗 恵)