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トイレにアクセスできる人口は約6割 日本の“当たり前”が通じない、インドのトイレ事情とは
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公衆トイレを探すのにひと苦労
インドで困ることのひとつが「公衆トイレが全然ない!」こと。そのため、観光に出かける際は、ホテルかレストランくらいしか行ける場所がありません(しかし、ローカルなレストランにはトイレがないことも多い)。
世界保健機関と国連児童基金(ユニセフ)の調査報告によると、インドでトイレにアクセスできる人口の割合は、2017年で約60%。それでも、2000年の16%から大きく改善したのは、インド政府がトイレの普及を推し進めたためといわれています。
数字の変化は私も体感しており、初めてインドに行った2013年頃に比べて、近年はデリーなどの都市部で公衆トイレをよく見かけるようになり、驚きました。

公衆トイレは有料である場合が多く、だいたい5~10ルピー(約9~18円)をスタッフの人に渡してから入ります。
しかし、公衆トイレが増えてきたとはいえ、まだまだ快適とまではいかず、出かけた先で困ることも多いのが現状です。
誤って紙を流して黒煙が…
インドのトイレは、紙が備え付けられていないことがほとんどですが、トイレットペーパーは入手できます。ただし、紙を使う習慣がないせいか、価格は日本よりも割高で、硬くゴワゴワした紙質です。
私たち外国人は、紙を持ち歩いて使うこともできますが、トイレに流すと詰まるため、使用後の紙はゴミ箱に捨てる必要があります。
このルールをわかっていたはずなのに、インドに住み始めてから、私はなぜかアパートで紙を流してしまいました。ひとり暮らしを始めて、気が抜けていたのかもしれません。
何度か流してしまったあと、トイレの水が流れなくなり、慌てて大家さんに相談。すぐに業者を呼んでくれて作業が始まりましたが、ものすごい悪臭とともに、黒煙がもくもくと部屋を覆ったのです。
トイレに紙を流しただけで、こんな悲惨なことになるのか……と鼻をつまみながら絶望していると、立ち会ってくれた大家さんがポツリとひと言。
「君はトイレの使い方を知らないのかい?」
いや、知ってはいたんだけれど……本当にごめんなさい。
インドでトイレに紙を流すと大変なことになりますので、くれぐれも注意してくださいね。
(中谷 秋絵)

中谷 秋絵(なかたに・あきえ)
取材ライター。新卒3年で心を病み、インドにバックパッカーの旅へ。インドの寛容さに救われ、日系旅行会社で働きながら約2年滞在。その後もたびたびインドを訪れている。2021年よりフリーランスのライターに。自身のインド経験を綴った「どんなに自己肯定感が低くても生きやすくなるすごいインド思考術」(ANU WORKS出版刊)など、2冊の電子書籍を出版。インドのダンスも踊っている。
