からだ・美容
不妊治療は自己選択の連続…専門家がアドバイスする、治療で最も大切なこと
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教えてくれた人:小松原 千暁

不妊治療にはどんな方法があり、どのような流れで進んでいくものなのでしょうか。また、不妊治療を始めるにあたり、大切なこととは? 不妊治療時、一般的にたどる治療ステップについて、不妊症看護認定看護師の小松原千暁さんに伺いました。
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不妊治療には大きく分けて3つのステップがある
不妊症の主な治療法は、大きく分けると、タイミング法、人工授精、そして体外受精や顕微授精などの生殖補助医療(以下、ART)の3つのステップがあります。不妊の基本検査で異常がなければ、タイミング法からスタートするのが一般的です。不妊治療は、同じ治療法を繰り返せば結果が出やすくなるというものではありません。一定期間で結果が得られない場合、人工授精や体外受精にステップアップしていきます。
タイミング法は、超音波検診で卵胞の大きさをチェックして排卵日を予測し、性交渉の時期を医師がアドバイスする療法です。卵胞が育たない場合は、排卵誘発剤を使用することもあります。日本産婦人科医会によると、タイミング法での妊娠率は約5%。医療施設によって違いはありますが、タイミング法で妊娠した人の約8割が、3~4回目までの治療で妊娠に至っています。女性側の通院は、1周期で1~2回が目安です。
タイミング法を数回行い、妊娠に至らなければ、一般的に医師から人工授精にステップアップすることを提案されます。人工授精は、医師が予測した排卵期に、男性が採取した精液を処理して運動良好な精子を回収し、子宮内に注入する方法です。これでも卵胞が育たない場合は、排卵誘発剤を使用することがあります。この場合も医療施設によって違いはありますが、一般的に妊娠率は7~8%で、妊娠した人の約8割が4回目までの治療で妊娠に至っています。通院は1周期2~3回です。
人工授精を試みても妊娠しなかった場合、体外受精などARTへステップアップすることが提案されます。卵子を体外に取り出し、体外で精子と受精させる治療方法です。通院の回数が増え、治療の内容も難しくなるので、医療施設によっては治療内容やスケジュールなどの動画配信をしたり、説明会などを行ったりしています。日本産婦人科学会の「ARTデータブック2022」によると、妊娠率は年齢によって違い、約10~50%です。