Hint-Pot | ヒントポット ―くらしがきらめく ヒントのギフト―

からだ・美容

不妊治療は自己選択の連続…専門家がアドバイスする、治療で最も大切なこと

公開日:  /  更新日:

著者:Hint-Pot編集部

教えてくれた人:小松原 千暁

不妊治療のステップアップ 年代別の一般的な目安

 不妊治療をいつステップアップしたら良いかについては、医師の判断もありますが、不妊原因が個人によって異なるので、一概に示すことはできません。ただし、タイミング法や人工授精法で妊娠した人の約8割が、4回目までの治療で妊娠に至ったことを考えると、同じ治療は4~6回程度にしてステップアップすることをおすすめします。また、女性は加齢とともに妊娠率が下がり、流産率が上昇するため、年齢が高い場合は早い段階で治療をステップアップする傾向にあります。治療回数の目安として、3つの年代別に紹介しましょう。

○20~34歳の女性
 4~6回のタイミング法で妊娠に至らなければ、人工授精へのステップアップを検討しましょう。人工授精を4~6回行っても妊娠に至らない場合は、体外受精などARTへ進んでいきます。

○35~39歳の女性
 タイミング法は、2~3回を目安にステップアップを検討しましょう。結果に結びつかない場合、人工授精を3~4回行い、ARTへ進んでいきます。

○40歳以上の女性
 タイミング法は1回、または行わずに人工授精を開始します。人工授精は1~2回を目安に行い、結果が出なければ、できるだけ早くARTへ進むのが一般的です。

 ステップアップの判断など治療方針は医師とよく相談し、夫婦で十分話し合って、そのときのベストな選択をしてください。

不妊治療は、自己選択の連続

 不妊治療は、自己選択の連続。検査の結果を受けて、医師から治療や追加検査などの提示があります。夫婦で内容を聞き、理解し納得して、今後どうするかを決めていきましょう。

 治療を受けると決めたら、いつ始めるのかを決め、治療を行い、その治療の結果が出たら次にどうするかを決めて……といった、自分たちで選択して決定する「自己選択の連続」です。意思決定の際は、医師からの提示に対して、看護師が補足的に説明をする医療施設もあります。心配なこと、わからないことがあれば、遠慮なく質問して、一つひとつをクリアにしていきましょう。

 不妊治療で大事になるのは、言われた通りに進むのではなく、自らも情報を集め、知識を広めたうえで決断することです。そして、最も大切なのは、夫婦間で互いの気持ちと考えを伝え合い、お互いを尊重して話し合いを重ねながら、ふたりで選択を行うことです。このプロセスがないと、のちに「あのとき、あなたがこう言ったから」など、夫婦間で意見のすれ違いが起こり、不妊治療によって夫婦に溝ができてしまうことがあります。

 ステップアップをはじめ、不妊治療の方針を決める際は、夫婦でできるだけゆっくりした時間を共有し、話をして決めましょう。夫婦どちらかが出した答えでも、ふたりでよく話し合った末の結論であれば、同じ方向を見て進んでいけるのではないかと思います。

(Hint-Pot編集部)

小松原 千暁(こまつばら・ちあき)

不妊症看護認定看護師、生殖医療コーディネーター、妊活支援ナース育成コーチ、日本生殖看護学会理事。不妊治療の専門クリニックに約20年間勤務した経験より、日本の性教育に妊娠する力の妊孕性(にんようせい)に関する情報が少ないことを実感。現在は生殖医療の看護師を指導する一方で、不妊治療を受ける患者さんや若い世代に向けて、自ら選択できるように妊活の正しい知識を広める活動を行う。妊活についての情報サイト「妊活の歩み方」でお役立ち情報を発信中。