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からだ・美容

自己負担3割の保険診療でもある一般不妊治療 タイミング法と人工授精とは 専門家に聞いた

公開日:  /  更新日:

著者:Hint-Pot編集部

教えてくれた人:小松原 千暁

人工授精はどんなプロセスを踏むの?

 人工授精は、排卵の時期に合わせて、運動率の高い精子を子宮内に注入する方法です。具体的には、男性がマスターベーションした精液を所定の容器に採取し、医療施設へ提出します。精液から運動率の高い精子だけを選別処理後、専用のやわらかいチューブ付き注入器で、医師が子宮内に注入。女性側に痛みはほとんどなく、数分で終了します。タイミング法と同様、卵胞が育ちにくい人や排卵しにくい人は、薬剤を併用することも。

 人工授精の対象は、4~6回のタイミング法で妊娠に至らなかった人、または性交が困難な人、精子の数や運動率が低下している人、子宮頸管の粘液が少なく精子が子宮内に入りにくい人などです。最適なタイミングで子宮内に精子を送り込み、妊娠を目指せる利点があります。

 一方で、両方の卵管閉塞や重度の精子異常、女性側に重症の不妊要因がある場合、人工授精では妊娠が期待しにくく適用外に。体外受精などの生殖補助医療(ART)が検討されることもあります。

一般不妊治療は保険診療対象 2022年4月から自己負担が3割に

 2022年4月以降は不妊治療の保険適用範囲が拡大し、多くの治療が保険診療になり、自己負担も3割に。一般不妊治療のタイミング法や人工授精ももちろん保険診療の対象で、開始年齢や回数の上限は基本的にありません。

 検査内容や医療施設により異なりますが、たとえばタイミング法の費用は、1周期あたり3000円~1万円が目安。医療機関や検査内容に応じて、最大で2万円程度になることもあります。人工授精は、施術のみだと5000円ほどですが、再診や検査、薬の費用を含めると、1周期あたり8000円~1万5000円が目安です。受診前に医療施設へ問い合わせてみましょう。

 高額療養費制度や自治体の助成事業をうまく活用すれば、不妊治療の自己負担額をさらに抑えることが可能です。条件や助成方法は自治体ごとに異なるため、治療を開始する前に、住んでいる自治体のウェブサイトや窓口で最新情報を確認してください。

(Hint-Pot編集部)

小松原 千暁(こまつばら・ちあき)

不妊症看護認定看護師、生殖医療コーディネーター、妊活支援ナース育成コーチ、日本生殖看護学会理事。不妊治療の専門クリニックに約20年間勤務した経験より、日本の性教育に妊娠する力の妊孕性(にんようせい)に関する情報が少ないことを実感。現在は生殖医療の看護師を指導する一方で、不妊治療を受ける患者さんや若い世代に向けて、自ら選択できるように妊活の正しい知識を広める活動を行う。妊活についての情報サイト「妊活の歩み方」でお役立ち情報を発信中。