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「妊娠しにくいかも」と感じたら…不妊症の医療施設はいつ行くべき? 専門家に聞いた
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教えてくれた人:小松原 千暁

妊活を始めたものの、なかなか妊娠に至らない場合、いつ不妊専門の医療機関を受診したら良いのか悩むこともあるかもしれません。医療機関では、まず「不妊症の基本検査」が行われます。検査の結果で不妊の原因がわかれば、妊娠を目指すために必要な治療を示されるのが一般的な流れです。どんな検査なのか、不妊症看護認定看護師の小松原千暁さんに伺いました。
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積極的に妊娠を望むなら、早めの受診を
排卵日頃に性交を行ういわゆる「自己タイミング」など、妊娠に向けて積極的に取り組んでいても、なかなか授からない場合は、一度、専門の医療施設で「不妊症の基本検査」を受けてみましょう。
基本検査を受ける時期の目安としては、妊活を始めてから1年経った頃といわれていますが、妊娠率は加齢とともに下がっていきます。「妊娠しにくいかも」と感じているなら、パートナーと話し合って早めの受診をおすすめします。
不妊症の基本検査は、妊娠しにくい根本的な原因がないかどうかを調べるものです。たとえば、女性はホルモンバランスが正常か、排卵しているのか、卵管が通っているのか、男性は精子の数が十分であるのかなどを検査します。
ご自身でも、基礎体温や排卵日予測検査薬などから排卵日の目安を推測できますが、ホルモンや卵管、精子の状態は検査をしなくてはわかりません。もし、実は排卵していなかったり、卵管が詰まっていたり、精子の数が極端に少なかったりすると、自然妊娠は難しいでしょう。基本検査で妊娠しにくい原因が見つかれば、適切な治療を行うことで妊娠のチャンスが広がります。
不妊を心配したことがある夫婦は3組に1組以上
とはいえ、不妊症の検査や治療というと、どこかネガティブな印象があり、一歩を踏み出すのに抵抗感がある方もいるかもしれません。
「2021年社会保障・人口問題基本調査(結婚と出産に関する全国調査)」によると、不妊について心配したことがある夫婦は39.2%。夫婦全体の3組に1組以上の割合です。また実際に不妊検査や治療を受けたことがある、または現在受けている夫婦は22.7%で、約4.4組に1組の計算となり、前回(2015年)から増えている傾向にあります。
もし今、周囲に相談できる人がいなくても、同じように悩んでいる人がいることをぜひ知っておいてください。
女性の不妊症基本検査は月経周期に合わせて行う
不妊症の基本検査は、女性の場合は月経周期に合わせて行います。1回の通院で終わるものではなく、初診から1~2か月かけて3~4回の通院が必要です。男性の場合は、血液検査と精液検査が行われ、1~2回の通院が一般的です。現在、不妊の原因は、男性側・女性側でほぼ半々と言われているため、男女ともそれぞれ検査を受けてください。
ここでは、まず女性の基本検査について紹介します。精液検査については別の機会で触れますので、合わせてご覧ください。
初診は、月経前後でも月経中でも基本的にいつでも受けてかまいません。その際、基礎体温表を持参すると検査の進行がスムーズです。基礎体温を測っていない方は、アプリなど簡単に記録できるものを利用しながら、明日の起床時から始めてみましょう。
問診では月経の状態、妊娠・出産・流産などの経験、妊活を始めてからの期間などを聞かれるので、メモしておくとよいでしょう。また、問診表を事前にダウンロードし、記入して持参してください、という施設もあります。医師からは、これからの検査や治療などの説明があるでしょう。