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枝豆を上品に食べるコツ マナー違反にならないよう、人前で気をつけたいポイントとは
公開日: / 更新日:
教えてくれた人:和漢 歩実

おつまみの定番といえば、枝豆の塩ゆでです。そのまま指でつまみ口に運んで食べることが多いですが、周囲に人がいる場ではどの食べ方が“正解”なのか迷うことも。いったん豆を皿に出してから食べるほうが良いのでしょうか。栄養士で元家庭科教諭の和漢歩実さんに伺いました。
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枝豆は、人前でどう食べるのが良い?
塩ゆでした枝豆の食べ方に厳密なマナーはありません。しかし、さやを口に入れて歯で押し出す食べ方は、外食先で相手がいる際は避けたほうが良いかもしれません。
枝豆を横にして手で持ったら口元に近づけ、指で1粒ずつそっと口の中に押し出して、食べる方法がスマートといえるでしょう。手で取った際に、枝豆のさやを少し開いてから口元に近づけると食べやすくなります。
枝豆は大皿で提供されることが多いですが、その場合はいったん自分の取り皿に食べる分を取って、取り皿からいただくと良いでしょう。箸ではなく、手で持って構いません。指先が汚れてしまった場合は、おしぼりの内側の面でそっと拭きましょう。さやは、用意されたガラ入れに入れます。ない場合は自分の取り皿に寄せておきます。
枝豆をさやから自分の取り皿に出して、箸で食べるということを見聞きします。けれども、さやから皿に押し出す際に豆が勢いよく飛び出て、予期せぬ方向へ行ってしまうこともあるので、あまりおすすめしません。フォーマルな場で塩ゆでした枝豆を、さやごと提供されるケースはほとんどないと思いますが、もし出されたら、お店の人に食べ方を聞いてみるのが良いでしょう。
基本的には、カジュアルな場で出されることが多い料理なので、あまり堅苦しく考える必要はありません。周囲へ配慮する振る舞いを心がけ、自分も相手も心地良い時間を過ごすことが大切です。
枝豆は栄養豊富 薄皮には食物繊維が多い
さやから出した枝豆には薄皮があります。食べて問題ありません。とくに苦手でなければ、枝豆の薄皮には食物繊維が多いので、食べたほうが栄養面でメリットがあります。薄皮が苦手で取り除いて食べる場合は、取った薄皮を皿に散らかさず、さやと一緒に目立たないよう端に寄せておきましょう。
また、お酒の席で、まず枝豆を食べることは栄養面でも理にかなっています。枝豆には、アミノ酸の一種メチオニンが含まれていて、アルコールの分解を促進するといわれています。
さらに、シジミで有名なオルニチンも枝豆にはあり、肝機能改善効果で肝臓にかかる負担が少なくなります。飲みすぎや食べすぎを防ぐために、飲み始めに枝豆を食べると良いでしょう。
食べすぎると塩分過多になるので要注意
ただし、栄養メリットがあるからといって、塩ゆでの枝豆をたくさん食べることはおすすめしません。一般的な枝豆は、ゆでる前に塩を揉み込みながら洗い、ゆでる際もさらに塩を湯に加えます。食べすぎてしまえば、エネルギーはもちろん、塩分摂取量も増えてしまいます。
日本人の食事摂取基準(2025年版)では、1日あたり成人男性7.5グラム未満、成人女性6.5グラム未満とされていますが、WHO(世界保健機関)では5グラム未満です。塩分の過剰摂取は高血圧のほか、動脈硬化、脳卒中、心臓病のリスクが高まります。どんな食品でもいえますが、適量をおいしく、いただきましょう。
まだまだ気温が高い日が続きます。栄養豊富な枝豆を、塩分や量、そして周囲にも気を配りながら、楽しみたいですね。
(Hint-Pot編集部)
和漢 歩実(わかん・ゆみ)
栄養士、家庭科教諭、栄養薬膳士。公立高校の教諭として27年間、教壇に立つ。現在はフリーの立場で講師として食品学などを教える。現代栄養と古来の薬膳の知恵を取り入れた健やかな食生活を提唱。食を通して笑顔になる人を増やす活動に力を注いでいる。
ブログ:和漢歩実のおいしい栄養塾
