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「こんなに痛いのに先に診てくれへんのか?」 救急車に対する誤解を消防局が解説 誤った利用に注意を
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もしものときに駆けつけてくれる救急車。しかし、出動件数は全国的に増え続けており、要請が逼迫すると、現場までの到着に時間がかかってしまう場合も。そうした事態を防ぐためにも、一人ひとりが救急車を適正利用に気をつける必要があります。尼崎市消防局は、救急車に対するよくある誤解を解く再現動画を公式TikTokアカウント(amagasaki.fire.dept)で公開。注目を集めています。
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必ずしも診察の優先度が高いわけではない
同局は「救急車で病院に行けば早く診てもらえる?」と題して、足の痛みを訴える男性患者と救急隊員の会話を再現した動画を投稿しました。
救急車内で「痛い、痛い、痛い、足痛い」と訴える男性。隊員が「今から病院探していきますね」と言うと、男性は「救急車で行ったら早く診てもらえんねやろ?」と質問します。しかし、隊員の答えは「場合にもよりますけども、それを決めるのは病院の先生です」というものでした。
男性が「なんで?」と疑問を投げかけると、隊員は病院での診察の仕組みについて、丁寧に説明します。
「病院の先生が症状を判断して、緊急性がある場合はもちろん早く診てもらえます。でもですね、病院の中にはいっぱい診察待ちの人もいますし、次から次へと新しい患者さんも来ます。その中からですね、緊急性の高い順番ごとに診察するんですよ。なので、自分自身で病院に来た人と同じように待ってもらうことももちろんあります」
命に関わるような重篤な状態であれば、もちろん優先的に診察されます。しかし、そうでないと判断された場合は、一般の外来患者と同じように順番を待つ可能性があるでしょう。
「優先的に診察をしてもらいたい」から利用してもいいと思う人は5%以上
内閣府が2017年9月に発表した「救急に関する世論調査」で、「あなたはどのようなときに救急車を利用してもよいと思いますか(複数回答可)」という質問に対し、「病院で順番待ちをせずに優先的に診察をしてもらいたい」と回答したのは5.1%でした。
誤った利用をする人が多いと、その分だけ救急車が現場に到着するまでの時間が延び、本当に命に関わる人の搬送が遅れるリスクが高まります。救急車は、早く診てもらうための手段ではありません。
一人ひとりの適切な判断が、社会全体の安全につながります。救急搬送についての正しい認識を持っておきたいですね。
(Hint-Pot編集部)