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ナスを切ったら黒いつぶつぶが…食べても平気? 選ぶときの目利きポイントとは 栄養士に聞いた
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教えてくれた人:和漢 歩実

夏から秋にかけて旬を迎えるナス。味に癖がないので、幅広い料理に使えます。しかし、調理しようと切ってみたら、黒いつぶつぶがあったという経験がある人もいるでしょう。このつぶつぶの正体とは? 食べても良いものなのでしょうか。ナスについて、栄養士で元家庭科教諭の和漢歩実さんに伺いました。
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実は、ナスは低温が苦手
ナスを切ったときに断面に見られる黒っぽいつぶつぶは、ナスの種です。ナスは収穫から日数が経つにつれて、種の色が白から茶、黒色へと変化していきます。また、インド原産の野菜なので、低温が苦手です。冷蔵保存で冷やしすぎると、低温障害を起こしやすく、種やその周辺が黒っぽくなってしまいます。
種やその周辺の変色のみでしたら、食べても問題ありません。ただし、鮮度が落ちているので、早めに食べましょう。変色が気になる場合は、カレーやミネストローネ、麻婆ナスなどに使うと、種の色が目立ちません。
もし、ナスから酸っぱいような臭いがしたり、ヘタにカビが生えていたりするほか、触ると水分が出てぬめりがあるときは、腐っている可能性が高いので食べないでください。
鮮度の良いナスの見分け方と適した保存方法
鮮度の良いナスを選ぶ際、目利きポイントは皮とヘタです。皮はハリとツヤがあるもので、表面に傷や変色がないかをチェックしてください。ヘタやがくがしっかりとしているものを選びましょう。ヘタ部分にトゲがある場合は、立っているものが新鮮です。
保存する際は、低温と乾燥を防ぐためにキッチンペーパーやラップで包み、冷蔵庫の野菜室で保存してください。3~4日程度を目安に使い切りましょう。
たくさん購入した際は、天日干しもおすすめです。縦に薄切り、輪切りなど好みの形に切って、網やザルに並べて天日で干しましょう。水分を飛ばして乾物にすると、旨味がアップします。室内の、日が当たる場所に置いて干すと手軽です。汁物の具材にすると、おいしく食べられます。
紫色の皮部分はポリフェノールが豊富
ナスには、体内の余分な塩分を排出してむくみに有効なカリウムをはじめ、腸内環境を整えて便通を促す食物繊維、赤血球の生産を助ける葉酸も含まれています。このほか、ポリフェノールの一種でアク成分のクロロゲン酸には抗酸化作用があり、生活習慣病や老化の予防が期待できるでしょう。
紫色の皮部分には、ポリフェノールの一種で色素成分のナスニンが、豊富に含まれています。抗酸化作用が期待でき、食物繊維も多いので、皮がついたまま調理しましょう。硬さが気になるときは、皮に切り込みを入れると食べやすくなります。
ナスを揚げたり炒めたりすると、油のコーティングによって栄養が閉じ込められ、ナスニンなどの吸収率を上げてくれるメリットがあります。ただし、油を吸って高カロリーになるので、ダイエット中の人は気をつけましょう。電子レンジを活用すると、油を使わず手軽でヘルシーです。
より栄養バランスを整える一皿にするなら、豆腐や肉、魚などのたんぱく質を主成分とする食品と、ビタミン、ミネラル、食物繊維を含む彩りのある緑黄色野菜と合わせて調理すれば、見た目も栄養面も優れた一皿になります。
ナスは低温障害に注意して保存し、黒いつぶつぶが気になる前に、できるだけ早めに食べましょう。
(Hint-Pot編集部)
和漢 歩実(わかん・ゆみ)
栄養士、家庭科教諭、栄養薬膳士。公立高校の教諭として27年間、教壇に立つ。現在はフリーの立場で講師として食品学などを教える。現代栄養と古来の薬膳の知恵を取り入れた健やかな食生活を提唱。食を通して笑顔になる人を増やす活動に力を注いでいる。
ブログ:和漢歩実のおいしい栄養塾
