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会計するときに客が「おあいそ」と言うのは間違い? 飲食店で恥をかかないためのマナーとは

公開日:  /  更新日:

著者:Hint-Pot編集部

教えてくれた人:和漢 歩実

会計時に見かけるバツマーク(写真はイメージ)【写真:写真AC】
会計時に見かけるバツマーク(写真はイメージ)【写真:写真AC】

 飲食店で会計をする際に「おあいそ」という言葉を耳にしますが、本来はどんな意味なのでしょうか。また、店のスタッフに向けて指でバツマークを作り、伝票をお願いするジェスチャーが適切なのかも気になるところです。会計時に避けたい行為や、スマートな振る舞いなどについて、栄養士で元家庭科教諭の和漢歩実さんに伺いました。

 ◇ ◇ ◇

「おあいそ」は本来、店側が使う言葉

「おあいそ」は漢字で「お愛想」と書き、相手に対する心配りを指すものです。そこから「客への心遣い」という店側の表現になり、転じて、飲食店での会計時に使われるようになったといわれています。

 語源には諸説ありますが、有力なのは「うちの店は愛想がなくて、安くできず申し訳ない」という思いを込めて、勘定の場で店側が使ったという説です。つまり、本来は店が「お愛想でございます」と伝えながら、勘定を差し出す表現でした。

 そのため、客から「おあいそ、お願いします」と言うのは本来の使い方と異なり、皮肉に聞こえ、失礼とされる場合があります。ただし、現代では「おあいそ」が「会計」や「勘定」を意味する言葉として広く認識されているため、「おあいそ」と言っても、店側から失礼だと受け取られることはほとんどないでしょう。

 それでも、周囲への配慮としては「おあいそ」を使わずに、「お会計をお願いします」と伝えるほうがスマートです。とくに、洋食の高級レストランで「おあいそ」と言うのは控えましょう。

バツマークのジェスチャーは海外では通じない?

 同様に、店側に会計をしたいことをそっと知らせるために、指でバツマークを作ることもあるかもしれません。これは、伝票を締める際の「〆」のマークに由来すると考えられています。

 カジュアルな飲食店であればかまいませんが、フォーマルなレストランなどではおすすめしません。スタッフと目が合ったら、軽くうなずいて支払いの意志を伝えます。手を軽く挙げても良いでしょう。

 ちなみに、海外のレストランでは通じません。指でバツを作るジェスチャーは、場合によっては「料理がまずかった」と言っていると誤解されることもあるので、気をつけてください。代わりに、文字やチェックマークを指で空中に描くようなジェスチャーをすると、会計の意思が伝わります。

 いずれにしても、「お会計!」などと叫んだり、忙しそうなスタッフを無理に呼び止めたりする行為はNGなので、控えましょう。

スムーズな会計のために心がけたいこと

 取引先を接待する際は、相手に気を遣わせないように、さりげなく支払いを済ませるのがポイントです。お店を予約した際、テーブル会計か会計カウンターでの支払いになるかを確認したり、接待であることを伝えておいたりするのも良いでしょう。

 また、誰かにごちそうする際は、相手がトイレに行くなど、いったん席を立ったタイミングで支払いを済ませるとスマートな印象に。支払うタイミングを作るために、相手に「お手洗いは大丈夫?」などと聞くのも一案です。このような場合は、現金より短時間で支払いを済ませられるクレジットカードのほうが便利かもしれません。

 居酒屋やカジュアルな飲食店では、ある程度フランクな対応をしても問題ありませんが、大切なのは相手や周囲への配慮です。上記を心がけ、スムーズな会計で、楽しい食事を締めくくりましょう。

(Hint-Pot編集部)

和漢 歩実(わかん・ゆみ)

栄養士、家庭科教諭、栄養薬膳士。公立高校の教諭として27年間、教壇に立つ。現在はフリーの立場で講師として食品学などを教える。現代栄養と古来の薬膳の知恵を取り入れた健やかな食生活を提唱。食を通して笑顔になる人を増やす活動に力を注いでいる。
ブログ:和漢歩実のおいしい栄養塾