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「あまりにもグッジョブ」大混雑の万博帰り、人混みを瞬時に分けた警備員の一言 言葉のプロも「すごく勉強に」
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大阪・関西万博の帰りに混雑する夢洲駅。男性警備員がベビーカーの家族連れがいるのに気付くと……。機転を利かせた一言によって、人混みの中に、“道”ができました。その場面を目撃したのは、プロのコピーライター。SNSで紹介すると、「素晴らしい」と話題を呼びました。言葉のプロをうならせた、“人を動かすコミュニケーション術”について話を聞きました。
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「みんな笑いながら道を開けていたので、すごく微笑ましい空間でした」
「万博終わり、混雑する夢洲駅で警備員さんが『すみません!! みなさんの老後を支える子どもがベビーカーで通ります!!』って言った瞬間、モーセみたいに人混みがブワッと開けた。あまりにもグッジョブすぎたね」
海が割れるというモーセの「十戒」のエピソードを踏まえてこの投稿をつづったのは、大阪・心斎橋の「トゥモローゲート株式会社」でコピーライターとして働く小川聖樹(小川サトキ @satoki_tg)さんです。「普段は広告のキャッチコピーを書いたり、企業の社長の方に取材をして企業サイトの文章を書いたりしています」といいます。
万博の帰り道に目撃したのは、プロフェッショナルな警備員の姿でした。「夢洲駅は万博終了の午後9時30分あたりになると、駅構内に入れず立ち止まってしまうくらいの混雑になるのですが、その中でも警備員さんの一言でみんな笑いながら道を開けていたので、すごく微笑ましい空間でした(笑)」。男性警備員は見た感じは30代後半から40代前半の年齢で、「ベビーカーに関しては、誰か特定の家族を通すため、というよりは、ベビーカーの方が通路に合流できるためのスペースを空けてください! というようなニュアンスでアナウンスされていました」と当日の様子を教えてくれました。
小川さんは仕事柄、この警備員の言葉選びに感銘を受けたといいます。「僕自身、コピーライターとして『人に気持ちよく行動に移してもらえる言葉』『人に喜んでもらえる言葉」を考える仕事をする中で、今回の一言はすごく勉強になりました。もしかしたらその警備員さんは、『ベビーカーが通るので開けてください』とだけ言っても、道を開けてもらえたのかもしれない。それでも警備員さんは、お客さんにプラスの感情を持って動いてもらうためにどうすればいいか? を考え抜いて実行に移したわけですよね。そのサービス精神は職業柄見習いたいものがあると思いました」。
投稿は拡散され、5.3万件の“いいね”を集めました。「最高か!」「万博の警備員さんの人間レベルがすっごく高い!!」「DJガードマンか」「その一言で奇跡起こすのカッコよすぎる」「老後を支える子供て水戸黄門の印篭ぐらいインパクトありますね」など、警備員の機転を称賛する声が続々と寄せられています。
一方で、「その通りなんだけど ベビーカー時代からそんな重荷を…………とかマジ反応してしまう」「こういった気の利いた発言について素直に受け止められなくなってきた」といった意見も。小川さんは「この発言に異を唱える方もいらっしゃって、どんな言葉にもいろいろな捉え方があるんだなぁ、と改めて思い知らされました。『老後を支える~』という発言一つとっても、会場で聞くのとSNSで読むのとでは、言葉の重さが違って感じられますよね。警備員さんは会場での誘導のベストを尽くされたと思うので、僕がSNSに勝手に引っ張り出してしまい申し訳ないです(笑)」と、言葉の受け取られ方の多様性についても言及しています。
この印象的な出来事を通して警備員の仕事に対しするリスペクトの思いが深まったそうで、「僕自身は何もしておらず、人のふんどしでバズったようなものなのですが、、(笑)。以前、仕事で警備会社さんとご一緒させていただいたことがあり、その際に撮影現場で『警備員さんのプロ意識』に触れたことがありました。普段は社会を裏から支える『黒子』の仕事だとは思うのですが、これを機に誇りをもって働く警備員さんのかっこよさが少しでも広まればいいな、と思いました!」と話しています。
(Hint-Pot編集部)