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サンマについた赤い糸状のもの 食べたら食中毒になる? 安全な食べ方を管理栄養士に聞いた
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教えてくれた人:藤田 えみこ

秋を代表する魚といえば、サンマ。今年は比較的大ぶりで脂ののりも良いといわれています。食卓に並べば、一気に秋らしさを感じられますよね。そんなサンマを塩焼きにした際、食べるべきか迷うのが内臓です。ときどき赤い糸のようなものを見かけることもありますが、これっていったい、なんなのでしょうか。サンマについて、管理栄養士の藤田えみこさんに伺いました。
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サンマの内臓がほかの魚と異なる点
サンマの内臓は、しっかり加熱すれば食べても問題ありません。通常、魚の内臓は臭みが強く、傷みやすい部位でもあるため、取り除いてから調理するのが一般的です。しかし、サンマの内臓は取り除かず、丸ごと焼くことが多いでしょう。
その理由は2つあります。ひとつは、サンマが「胃を持たない魚」であることです。腸も短いため、体内に排泄物が溜まりにくく、内臓が傷みにくい魚といわれています。
もうひとつは、サンマの「食の習性と漁の時間」です。サンマは日中にプランクトンを食べると、夜は何も食べません。サンマ漁はほとんどが夜間に行われるため、獲れたサンマの内臓はほぼ空っぽの状態で臭みが少ないのです。
独特の苦味が苦手な方もいるかもしれませんが、栄養的にはとても優秀です。サンマの内臓には、目の健康を守り、皮膚や粘膜を健康に保つレチノール(ビタミンA)が、身よりも豊富に含まれています。そのほか、ビタミンB12や鉄も多く含まれており、貧血気味の人におすすめです。
栄養があるといっても、生で内臓を食べないでください。サンマにもアニサキスなどの寄生虫がいることがあり、食中毒を引き起こす可能性があります。必ずしっかりと火を通して食べましょう。
赤や黒の糸状のものは… 食べても問題ない?
サンマで見かける赤い糸状のものは、寄生する「ラジノリンクス」と呼ばれるものです。サンマに限らず、魚はエサを食べているときに、寄生虫などが体につくことがあります。ちなみに黒い糸状のものを見かけた経験もあるかもしれませんが、こちらは、「サンマヒジキムシ」と呼ばれます。
どちらもしっかりと焼いてあれば、食べても差し支えありません。気になる場合は取り除いて食べると良いでしょう。ただし、サンマヒジキムシは甲殻類なので、甲殻アレルギーの方は、念のため注意してください。またサンマの魚体にある青い点はウロコなので、食べて問題ありません。
栄養を効率よく、新鮮なものを
サンマの塩焼きに、大根おろしやすだちを添えることが多いですが、栄養面で理に適った組み合わせといえます。
大根おろしには、糖質やたんぱく質、脂質を分解する酵素があるため、一緒に食べることでサンマのたんぱく質や脂質の消化吸収を助けます。
また、すだちにはビタミンCが含まれており、サンマの鉄やカルシウムの吸収を促す特徴があります。果汁をかけることで効率よく栄養をとれるでしょう。すだちの酸味には食欲増進作用もあるので、栄養だけでなく食べやすさにもつながります。
青魚であるサンマには、DHA(ドコサヘキサエン酸)やEPA(エイコサペンタエン酸)の良質な油も豊富です。脳の活性化や動脈硬化を防ぐなどの効果が期待されています。幅広い年代で味わいたい秋の味覚です。
サンマを購入する際は、口先と尾が黄色く、黒目の周りが透明で澄んでいるものが新鮮といわれています。また、腹が太くてハリがあるものがおすすめです。旬の味を楽しみましょう。
(Hint-Pot編集部)
