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ブドウは皮も種も丸ごと食べるべき? 更年期の不調緩和に役立つ栄養成分や1日の適量を栄養士が解説
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教えてくれた人:和漢 歩実

秋の味覚の代表、ブドウ。甘くてジューシーな味わいだけでなく、栄養豊富なところも魅力です。とくに、ホルモンバランスの影響で不調に陥りやすい更年期世代がとっておきたい、健康成分も含まれているそうです。ブドウの栄養をとれるおいしい食べ方や保存方法などについて、栄養士で元家庭科教諭の和漢歩実さんに伺いました。
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栄養たっぷりのブドウ 実だけでなく皮や種も
ブドウは、エネルギー源に変わる果糖やブドウ糖などの糖質だけでなく、さまざまな栄養成分を含んでいます。たとえば、体内の水分や塩分を調整し、むくみ緩和が期待できるカリウムや、コレステロール値の上昇を抑えたり、腸内環境を整えたりする食物繊維などです。疲労回復効果が期待できる酒石酸やリンゴ酸などの有機酸もあり、更年期世代の悩みに役立つ栄養成分が多い果物といえます。
ブドウの成分というと、ほかにポリフェノールを連想する人は多いでしょう。眼精疲労に良いアントシアニンをはじめ、抗酸化作用が高いレスベラトロールなども。これらのポリフェノールは、皮に多く含まれています。
また、近年注目されているのは、ブドウの種子にあるプロアントシアニジンです。同様に抗酸化作用があり、ホットフラッシュなど、更年期の不快な症状緩和にも役立つと期待されています。
こうした栄養成分のメリットを得たい場合は、皮も種も食べることをおすすめします。皮ごと食べられる品種なら、皮ごと食べましょう。種は食べても問題ないとされていますが、好みが分かれるところです。
一方、皮を食べない品種のものは皮が硬く、消化も良くないため、そのまま食べることはおすすめしません。皮や種から果肉まで、ブドウの栄養をくまなくとりたいときは、ミキサーにかけてジュースにすると効率良く摂取できます。
ブドウの食べすぎには気をつけよう
栄養が豊富で手軽に食べやすく、健康面でのメリットも多いブドウですが、食べすぎには気をつけてください。体内吸収が素早く、ブドウ糖を多く含むため、糖質過多で血糖値が上昇しやすいです。体に良い影響を与えないだけでなく、カロリーオーバーにもつながります。
ブドウの適量に決まりはありませんが、農林水産省の「食事バランスガイド」では、果物の摂取目安量として1日あたり200グラム(可食部)程度を推奨しています。それを前提に1日あたりの適量を考えると、巨峰などの大粒のブドウなら、20粒程度が目安です。ただし、甘くて糖質が多いため、カロリーが気になる人は10粒程度にしましょう。
ブドウをおいしく食べるための保存のコツ
ブドウはあまり日持ちしません。すぐに食べないのであれば、洗わずにブルーム(皮に付着している白い粉)がついた状態で保存しましょう。ブルームが、ブドウに含まれる水分の蒸発を防いでくれます。乾燥しないよう、さらに房ごとキッチンペーパーなどで包み、ポリ袋に入れて冷蔵庫の野菜室で保存しましょう。
大粒のものなら、枝を少し残して1粒ずつカットしてから保存すると、比較的長持ちします。枝に流れていた水分や栄養分を、果実にとどまらせるためです。枝を完全にはずしてしまうと、その部分から傷んでしまうので、少し残すことがポイント。こちらも乾燥に気をつけて、ポリ袋や密封容器などに入れ、冷蔵庫の野菜室で保存してください。
冷凍保存も可能です。水洗いして、しっかりと水気を取ったブドウを1粒ずつカットしたら、冷凍用保存袋や容器に入れて冷凍庫で保存します。冷凍したブドウは、水に浸けると皮をむきやすくなるでしょう。半解凍の状態でシャーベット風にして食べても良いですし、ヨーグルトなどのトッピングなどにもしてもおいしいです。凍ったまま、牛乳や豆乳と一緒にミキサーにかけてスムージーにすると、栄養バランスが整った飲み物になります。
健やかな更年期のため、ブドウの健康成分を上手に役立てたいですね。
(Hint-Pot編集部)
和漢 歩実(わかん・ゆみ)
栄養士、家庭科教諭、栄養薬膳士。公立高校の教諭として27年間、教壇に立つ。現在はフリーの立場で講師として食品学などを教える。現代栄養と古来の薬膳の知恵を取り入れた健やかな食生活を提唱。食を通して笑顔になる人を増やす活動に力を注いでいる。
ブログ:和漢歩実のおいしい栄養塾
