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梨は皮ごと食べても大丈夫? 栄養成分を無駄にしない食べ方と保存のコツを栄養士が解説

公開日:  /  更新日:

著者:Hint-Pot編集部

教えてくれた人:和漢 歩実

みずみずしい梨(写真はイメージ)【写真:写真AC】
みずみずしい梨(写真はイメージ)【写真:写真AC】

 シャリシャリとした食感と、甘くジューシーな果汁がおいしい梨。秋の味覚の代表格です。皮をむいて食べるのが一般的ですが、リンゴと同じように皮ごと食べても平気なのでしょうか。梨の栄養成分や保存のコツも含めて、栄養士で元家庭科教諭の和漢歩実さんに伺いました。

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梨は皮近くに栄養成分がある?

 結論から言いますと、梨は皮ごと食べても問題ありません。皮や皮近くに栄養成分が含まれているため、むしろ皮ごと食べたほうが良いです。とはいえ、硬い食感のため、好みは分かれます。皮付きでも、皮をむいても、おいしいと感じる食べ方で味わうと良いでしょう。皮つきの場合は、念入りに洗ってください。

 約88%が水分なので、栄養がないと思われがちですが、意外にも便秘やむくみが気になる人にうれしい栄養成分が含まれています。まず、“石細胞”とも呼ばれる不溶性食物繊維、リグニン。梨のシャリシャリとした独特の食感は、このリグニンが蓄積したものです。

 皮近くに多い糖の一種、ソルビトールは、整腸作用への期待も。このほか、利尿作用や疲労回復効果が注目されるアミノ酸の一種、アスパラギン酸や、塩分を体外へ排出して体内の水分調整するカリウムなども含まれます。

 そのまま食べてもおいしいですが、皮と一緒にすりおろすと、アレンジが広がります。酢、オリーブオイル、塩、コショウと一緒に混ぜ合わせ、レモン汁を加えると、すりおろした梨の変色防止に。フルーティなドレッシングとして、サラダやカルパッチョなどに合います。また、一緒に肉を漬けておくと、焼いたときにジューシーでやわらかい仕上がりに。これは梨に含まれるプロテアーゼという、たんぱく質を分解する消化酵素の働きによるものです。

梨を日持ちさせるコツや見分け方

 追熟させる洋梨とは違い、梨はあまり日持ちしません。購入してきたら、なるべく早く食べ切るのがおすすめです。

 保存する際は、軸側を下、おしり側を上にして、逆さまに保存するのがポイントです。軸を下にすることで梨の呼吸が抑えられ、劣化のスピードがゆるやかになるといわれています。常温保存ではなく、冷蔵庫の野菜室で保存しましょう。梨は乾燥を嫌うため、1個ずつ食品用ラップをかけるか、ポリ袋などに入れてください。

 食べ切れないほどたくさんの梨が手に入った場合は、冷凍保存すると良いでしょう。ひと切れずつカットしてラップに包み、冷凍用保存袋に入れて保存します。食べる際はそのままシャーベットとして、もしくは、たんぱく質が豊富な豆乳や牛乳などと一緒にスムージーにするのもおすすめです。

 選ぶときには、ずっしりと重みがあり、いびつでなく丸みがある形のものが良いでしょう。また、皮にハリのあるものがおすすめです。

 品種によって、長い期間にわたり楽しめる日本の梨。主に「幸水」から始まり、8~10月頃が最盛期です。11月には巨大梨で知られる「愛宕梨」も出回ります。産地がさまざまあるところも魅力のひとつ。旬を楽しみたいですね。

(Hint-Pot編集部)

和漢 歩実(わかん・ゆみ)

栄養士、家庭科教諭、栄養薬膳士。公立高校の教諭として27年間、教壇に立つ。現在はフリーの立場で講師として食品学などを教える。現代栄養と古来の薬膳の知恵を取り入れた健やかな食生活を提唱。食を通して笑顔になる人を増やす活動に力を注いでいる。
ブログ:和漢歩実のおいしい栄養塾