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残暑が厳しい運動会シーズン お弁当作りでやってしまいがちなNG行為とは 栄養士が解説
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教えてくれた人:和漢 歩実

スポーツの秋が到来。運動会のお弁当に、さまざまなおかずやフルーツを詰めたいと思っている人もいるでしょう。しかし、普段のお弁当と違い、屋外で昼食時まで保管しておく必要があるため、食中毒予防をしっかりとしておきたいところです。秋といっても、気温が高い日が多い昨今。お弁当作りで気をつけたい点について、栄養士で元家庭科教諭の和漢歩実さんに伺いました。
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お弁当の定番・おにぎりやいなり寿司は要注意?
厚生労働省は、食中毒予防のために、菌を「つけない」「増やさない」「やっつける」を三原則として挙げています。お弁当作りをする際、調理前の手洗いはもちろん、調理器具やお弁当箱もしっかりと洗い、乾燥させるのが基本です。
意外にやりがちなNG行為は、おかずを詰める際に素手で食材を触ることです。黄色ブドウ球菌などの食中毒菌は、人の手から感染しやすいといわれています。手や指に傷があると、傷口には黄色ブドウ球菌が多く存在しているので、食材に菌をつけてしまうリスクも。おかずなどは、菜箸を使って詰めましょう。
また、おにぎりを握ったり、いなり寿司やサンドイッチを作ったりする際も、素手ではなく、ラップや使い捨ての手袋の使用をおすすめします。とくに、いなり寿司の油揚げは、煮汁をしっかりと切ってください。水分があると、食中毒の原因になる菌やウイルスを活性化させるおそれがあります。
半熟の卵焼きやゆで卵はNG しっかり火を通して冷ます
卵焼きやゆで卵などの卵料理は、半熟ではなくしっかりと火を通しましょう。明太子やタラコを使う場合も、生ではなく、しっかり加熱するのが基本です。冷蔵のハム、ちくわやかまぼこなど生のまま食べられる加工品も、すぐ食べないお弁当のおかずにそのまま入れるのは避け、必ず加熱を。作り置きしたおかずも同様です。
加熱したあとは、冷ましてお弁当箱に詰めるのが鉄則です。温かいままフタをすると中に水滴がついてしまい、菌が増殖する原因になります。平らな皿に広げてあおいだり、皿の下に保冷剤を敷いたりするなど、素早く冷ます工夫をしましょう。
お弁当箱に詰める際は、おかず同士をくっつけて詰めるのではなく、市販のおかずカップを活用して、それぞれを仕切って入れます。水漏れを防ぎ、ほかの食品に細菌が移ることを防ぐためです。ごはんとおかずも同様にしましょう。とくに暑い時期は、ごはんの上におかずをのせることは避けてください。
彩りも兼ねて、レタスやサラダ菜などの葉野菜を使って仕切りたい人もいるかもしれませんが、水分が出て、傷む原因になります。食中毒の観点からいうと、暑さが残るなかでの運動会のお弁当に、生野菜は使わないほうが安心です。
フルーツもお弁当に入れたい! カットフルーツはOK?
お弁当にフルーツを入れたい場合は、別の密封容器に入れて持っていきましょう。ほかのおかずと一緒に詰めると、持ち運んでいる間に押しつぶされて果汁が出てしまい、味が移ってしまうほか、お弁当が傷む原因にもなります。
カットフルーツは便利ですが、避けてください。フルーツから水分が出やすいため、雑菌の繁殖につながります。秋のお弁当に入れるフルーツは、カットしなくて良いブドウがおすすめです。水洗いしたら、きっちりと水分を拭って容器に入れてください。ほか、手軽に食べられるバナナも良いでしょう。
細菌が増殖する温度は、一般的に20度~50度。35度前後で最もよく増殖するといわれています。運動会のお弁当というと、屋外に置くことが多いかもしれませんので、保冷剤と保冷バッグを活用するようにしてください。おいしいお弁当を楽しむために、食中毒対策をしっかり行いましょう。
(Hint-Pot編集部)
和漢 歩実(わかん・ゆみ)
栄養士、家庭科教諭、栄養薬膳士。公立高校の教諭として27年間、教壇に立つ。現在はフリーの立場で講師として食品学などを教える。現代栄養と古来の薬膳の知恵を取り入れた健やかな食生活を提唱。食を通して笑顔になる人を増やす活動に力を注いでいる。
ブログ:和漢歩実のおいしい栄養塾
