台風接近前の海で採集されたという海洋生物の写真が、X（ツイッター）で大きな話題になっています。バケツの中で泳ぐ多種多様な生き物たちの美しい光景に、6.2万件もの“いいね”が。投稿者で生き物が好きなてるお（@teruo_ikmono）さんに詳しいお話を伺いました。

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台風前の特別な海で起きた奇跡

「台風の来る前の海、すんごい」

　そんなコメントとともに投稿された写真に写る、さまざまな海洋生物。黒や茶色の斑点模様を持つ小さな魚や、透明なクラゲ、小さなカニやイカなどが、バケツの中で泳ぎ回っています。

　普段の穏やかな海では出合えない、珍しい生き物がたくさん採取できた様子。バケツの中を照らすライトが、まるで小さな宇宙のような、幻想的な世界を演出しています。

　この投稿は6.2万件もの“いいね”を集めました。リプライ（返信）には、「あら楽しそう　みんなで集まってパーティーでもしているみたいですね」「星空をすくい上げたようだ」「ちょっとしたお祭り騒ぎですね！」など、その神秘的な美しさに感動する声が相次ぎました。

「気まぐれに投稿した」が生んだ大反響

　海洋生物の採集を趣味とするてるおさん。台風で海が荒れる前、自分の身の安全をしっかり確保したうえで、採集に挑みました。当時の状況について、「沖からの風で流されてきていた漂流物から、目視で探しながら網で採りました」と振り返ります。

　この日に採取できたのは、マツダイやアミモンガラ、ソウシハギ、ヤセハリセンボンなど、約12種類。予想以上に良い成果が出て、大満足だったそうです。なかには、初めて採取できた生き物もいました。

「ヤセハリセンボンは初めて採集したものでした。外洋性のハリセンボンの仲間なので、このようなとき以外は漁港内では見られません」

　普段は沖にいる生き物が、台風の影響で岸近くに現れるという、まさに自然が生み出した奇跡的な出合いでした。

「台風によって沖から陸に向けて強い風が吹くと、表層を漂って生活している魚の幼魚や漂流物に着いて暮らしている生き物たちが陸近くに流されてきます。海の表面は風の影響を強く受けるので、風向きや風力が良ければ沖に行かなければ見られない生き物がこうして漁港や浜辺で見られるようになります」